シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

「発達障害者のための理想のかばん」はすごく便利

 

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術

 
 上掲の本、生きていくための気付きや指針が盛りだくさんで、売れまくっているのもさもありなん……みたいな気持ちで見守っています。
 
 この本のページをめくるたびに、私は「自分も発達障害じゃないか?」と思わずにはいられません。私の机の上はいつも散らかっていますし、印鑑や書類の管理にはほとほと困ってきました。そういう来歴を思い出してしまうからです。
 
 で、この本の前半パートには「発達障害者のための理想のかばん」が登場します。
  

 ADHD傾向の強い人は、持ち物の管理が苦手なことが多いかと思います。僕も大変苦手です。物をどこに収納したのか覚えておくのは本当に苦手ですし、パッキングも信じられないほど下手です。すぐにあらゆる物がどこかへ消えます。大事な書類も、大切にしたかった万年筆も、実印も、何もかもです。
(中略)
 混乱したかばんの中身は、混乱した頭の中身です。逆に言えば、かばんが整えば頭が整う。世界が少しだけ、それでもとても効果的に変化すると思います。ぜひ、試してみてください。
 
 借金玉『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』より

 私はこの本のあとがき解説担当だったので、去年の秋頃にドラフト原稿を読み、「発達障害者のための理想のかばん」というフレーズを知りました。すぐさまAmazonで検索し、自分用に購入しました。
 
 私はフォーマルにADHDと診断されたわけではありませんが、不注意な人間で、絶えず頭のなかで何かを考え続けていなければならず、大事なモノをしばしば無くします。出張や旅行に出かける際などは、出発の前々日から忘れ物チェックをやらなければならず、そうやってさえ、1つや2つの忘れ物は避けられません。
 
 そもそも、忘れ物チェックがチェックとして成立していないのです。忘れ物チェックのためにとりだした品を、ほんの一瞬、床の上に置いてしまってそれっきり……といったことがあるため、チェックが仇になって、必要な品がかばんの中から出て行ってしまうことがよくあります。忘れ物チェックがチェックとして成立している人と、脳内処理の何かが違っているのでしょう。
 
 そんな私にとって、借金玉さんが紹介してくれたかばんは理想的なアイテムでした。なにしろ、かばんを開けばどこに何がしまわれているのかが一目瞭然なので、かばんからものを取り出さなくても忘れ物チェックができます。出先で何かを取り出す際も、かばんをひっくり返して探さなければならない事態が避けられるようになりました。
 
 もともと大容量なので、いざとなったらあれこれ詰め込んでも何とかなるのもありがたい。たくさん詰め込み過ぎるとかばん内の一覧性が下がってしまうため、ミッションが片付く前に詰め込むのは危険ですが、後は家に帰るだけになれば、お土産品などをたくさん詰め込めます。
 
 これらの「発達障害者のための理想のかばん」は、ファッション性では、たとえばイタリア製の革製かばんなどに見劣りするのは否めません。でも、実用品として割り切って使うぶんには期待以上の有用性をみせてくれました。『ひらくPCバッグ』のほうは2016年度のグッドデザイン賞を受賞していますが、なるほど、実際に使ってみると使いやすさがよくわかります。
 
 

かばんの中身を管理できない人にオススメ

 
 ということで、かばんに入っている品を上手に管理できない人には、この「発達障害者のための理想のかばん」はお勧めです。
 
 私が思うに、ADHDという病名の有無にかかわらず、世の中には二種類の人間がいます。つまり、バッグやかばんに入っているものを管理できて、自由自在に出し入れできる人間と、そうでない人間です。
 
 「かばんに入れといたはずなのに、あれが出て来ない!」って涙目になりながら東京駅のホームでかばんを引っ掻き回したことのある人、かばんをひっくり返して中身をグワシャーって出さざるを得なくなる人などは、私と同じく、管理できない人間です。そういう人には「発達障害者のための理想のかばん」は強い味方になることでしょう。
 
 このほかに、借金玉さんの上掲書籍には、整理整頓が駄目な人・モノの管理が苦手な人のためのアイデアやアイテムがいろいろ載っているので、その手の人にはおすすめです。発達障害の有無とは関係なく、お役に立つかと思います。