シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

LITALICOさんの研究交流会に参加し、最良の可能性を見たように思いました

 
litalico.co.jp
 
 
 昨日(11月11日)、リンク先のLITALICOさんからお誘いを頂いて、「よく発達した発達障害」をテーマとした研究交流会に参加させていただきました。
 
 リンク先をご覧いただければわかるように、LITALICOさんは2012年から障害者支援の活動を行っており、まだ新しいにもかかわらず、この手の組織としてはかなりの規模に成長しています。
 
 そういう組織なので、内心、医療寄りの堅苦しい研究交流会になるのではないか、と身構えていたところもあったのですが、参加してみると、「ざっくばらんにやりましょう」という空気が会場全体に漂っていて、伸び伸びとプレゼン&意見交換できたように思います。
 
 私のような、精神疾患以上に社会適応に魅了されてしまった精神科医でも伸び伸びと参加させていただけた理由は、「よく発達した発達障害」をテーマとして選んでいただいたから、だけでもないように感じられました。
 
 スタッフの皆さんの言動から察するに、発達障害や精神障害といったものを適応の妨げになるハンディとみるだけでなく、適応のアドバンテージとしてもみる視点が、皆さんの感覚として共有されているように思われました。
 
 もちろん、障害者支援組織たるもの、「その人の長所を生かそう」とか、「その人の特性や個性を大事にしよう」とか、そういったお題目は必ず掲げているものです。
 
 しかし、そうしたお題目を、現実の支援活動や、被支援者の経済的可能性まで結びつける水準でやっていこうとする、そしてやってのけてもいる組織となると、ザラにあるものではありません。
 
 

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 また、交流会の後半に、レゴブロックを使ったワークショップがあったのですが、レゴブロックを箱庭療法のように使ったうえで、どれほど個人が異なる考え方を持ち得るのか、その異なった考え方を組み合わせると一体どういう面白いことが起こるのかを見事にみせてくれました。
 
 社会は、レゴブロックほど組み合わせやすくもないでしょうし、もっとややこしいものでもあります。しかしブロック遊びをとおして、多様性とその組み合わせの妙をここまで意識できる方法を知っていて、参加者に魅せてくれる手法には感服しました。これは、かなり「わかって」ないとできない芸当だと思います。
 
 交流研究会の内容はクローズなのでお知らせすることはできませんが、プログラムの内容にも、参加者の皆さんとのコミュニケーションにも、スタッフの皆さんの運営やお計らいにも、大変楽しませていただきました。と同時に、障害者支援の最新のかたちのひとつを垣間見ることができて、ブロガーとしてだけでなく、本職のほうでも得るところが大きかったと思います。
 
 

たとえ今は、大都市圏だけだとしても

 
 こういう、先進的な取り組みを目の当たりにしていると、私は「くっそ、東京と田舎ではやっぱりギャップがあるな」と羨ましく思ってしまうほうです。LITALICOさんのアメニティや活動、スタッフの皆さんの知識などから察するに、これらは、現在の地方の障害者支援では望むべくもないからです。
 
 しかし、サービスとか文化とかいったものは、東京から地方へと広がっていくのが通例です。
 
 今は大都市圏にしか存在しないサービスても、いつかは地方中核都市に、やがてはもっと小さな都市に伝播していく可能性はあるでしょう。現に、LITALICOさん自身も、首都圏以外に業務を拡大していると伺いました。
 
 私は、発達障害概念(や、その他の、幅広い層が該当し得る精神疾患概念)が社会に浸透していくエフェクトについて、肯定的なエフェクトだけがあるのでなく、副作用のようなエフェクトもあり得るし、どちらにせよ、概念の拡大は、社会を変えていくと思っています。
 
 [関連]:発達障害のことを誰も知らなかった社会には、もう戻れない - シロクマの屑籠
 
 だとしても、そうした変化が不可避なものだとしたら、できるだけ良いように変化して欲しいものです。発達障害や精神障害の支援が、より望ましく、バリエーションや可能性に富んだものになっていくなら、それが良いに決まっています。
 
 今回の交流研究会をとおして、私は、そういった可能性の最良のもの(のひとつ)を見たように感じました。
 
 いつか地方にも、LITALICOさんに比肩するサービスや、LITAICOさん自身が来てくれたらいいなと思います。
 
 なんにせよ、知見が広がり、インスピレーションも広がる研究交流会を経験できました。参加者の皆様、スタッフの皆様に、改めて御礼申し上げます。