シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

「キモオタ」の誕生について

 
 オタクについて調べものをしている時に、「キモオタ」という単語のgoogleトレンドが目に留まった。
 
Google トレンド
 
 オタクがライト化・庶民化していった時期に使われはじめ、順調に定着している傾向がうかがわれる*1。芸能人までもが「実は僕もオタクで……」などと言い出せば、「きれいなオタク」と「キモいオタク」が存在することが明るみになってくるし、『げんしけん』では既に「きれいなオタク」として高坂くんが描かれていた。きれいなオタク・モテておかしくないオタクが認知されれば、汚いオタク・モテないオタクを指す言葉のニーズが高まってくるのも当然だろう。以下のリンク先は、そうした「きれいなオタク」「キモいオタク」が分離されはじめた頃のブログ界隈の議論の一端である。
 
 [関連]:「オタク」の定義は多様化しても、「キモオタ」の定義は多様化しない - シロクマの屑籠
 
 じゃあ、キモオタという言葉は00年代あたりに「発明」されたのか?
 
 私はそうではない事を知っている。もちろんキャズムを超えて普及したのは2005年以降、と考えて差支えないだろう。だが私は、90年代の脱オタクファッション系のサイトでこの「キモオタ」という言葉が早くも使用されていたのをはっきり覚えている。
 
 ただ、この90年代に「キモオタ」という言葉を見かけたのが脱オタクファッション系サイトだったというのがミソで、その時の「キモオタ」という言葉は、“一般人”がオタクをこき下ろすための言葉である以前に、被害者意識やコンプレックスを持ったオタクが自分達を卑下する言葉、あるいは脱-オタクファッションな人が過去の自分を否定する言葉として用いられる傾向があったかもしれない。
 
 オタクがみずからをキモオタ呼ばわりする傾向は、「デュフフ」をはじめ、その後もしばらく残っていた。しかし時代が変わり、キモオタという言葉は、自己卑下や自嘲としてより、キモいやつをキモいと呼ぶための罵倒語として使われるようになっていった。
 
 ともあれ、キモオタという言葉が昔から広く流通していたわけではない。そしてオタクという言葉が希釈された2016年においても、まだまだ「キモオタ」という言葉は必要とされ続けていて、要は、コミュニケーションや身なりに難のある個人を嫌悪するための言葉として死んでいないことは、記銘し、観測し続けておきたい。
 

*1:ところで、2006年3月にキモオタという言葉が滅茶苦茶に使われているのは何故でしょうか?知っている人がいたら教えてください