シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

“新・はてな村”の功罪

 
 三年前の私は、(株)はてな が提供するネットサービスについて以下のような夢を語っていた。
 

 
ネットで人と仲良くなるためにはプライベートな連絡手段が必須なので、はてなメッセージを強化して欲しい - ARTIFACT@ハテナ系
 
 加野瀬未友さんは、はてなユーザー同士のプライベートな連絡機能を強化して欲しい、と書いている。これに近い機能はtwitterやGoogle+などにも既にあるけれど、はてなという「オープンなインターネットコミュニティ」にこの機能が実装されれば、オープン一辺倒にありがちなコンテンツ/キャラに依存したコミュニケーションではなく、半匿名のユーザー同士の、もっと多層的な交流を生み出してくれるんじゃないかと期待する。“真・はてな村”の誕生、というか。

http://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20120929/p1

 
 それから三年の月日が流れ。
 はてなブログとはてなブックマークは、ますます盛んになっていった。
 

  • “新・はてな村”の光と影

 
 はてなブロゴスフィアは大きく変わった。“旧・はてな村”的なアクの強さは希釈され、多種多様なブロガーやブックマーカーが新規参入した。「“はてな村”は、“はてなタウン”に生まれ変わった」という意見も耳にする。
 
 良くも悪くも癖のあるアカウントが目立っていた旧・はてなダイアリー的世界が、さまざまなアカウントが人気記事に上がってくる新・はてなブログ世界に拡大していった背景には、やはり、はてなブックマークとはてなブログの連携、ユーザー同士のコミュニケーションを促す『あなたへのおしらせ』システムの実装・改良があると思う。はてなブログの取り回しの良さも、プラスに働いているだろう。
 
 そうしたサービス改善が効を奏した結果、たくさんのブロガーの承認欲求*1や金銭欲が刺激され、あるていど叶えられた。このことを(株)はてな の人達は誇って良いと思う。かくして、間口の広い“新・はてな村”が爆誕した。
 
 けれども、はてなブックマークとはてなブログが緊密に結びついた結果、新しい問題が生じるようになった。いわゆる“はてなブックマーク互助会問題”などはその最たるもので、スパムまがいなユーザー同士の“繋がり”が論議されるようになった。
 
 [関連]:有名ブログですら互助会ブックマークが必要という現実
 [関連]:はてなブックマーク互助会と炎上耐性 - あざなえるなわのごとし
 
 小コミュニティ感覚で相互ブックマークを繰り返していれば、炎上することなくPVを稼ぎやすく、人気記事も量産しやすい。反面、“ネット世間知らず”なまま危険な文章を書いて深刻な炎上に至るリスクや、承認欲求や金銭欲の無間地獄に転がり落ちるリスクも高くなる。
 
 と同時に、はてなの人気記事にコピペ同然な記事が並びやすくもなり、はてなブロゴスフィア全体にも影響が及ぶようになった。
 
 以下のトラブルも、その最たるものだ。
 
 pojihiguma.hatenablog.com
 
 [関連]:@poji_higuma のポジ熊嵐とはてなブックマーク - あざなえるなわのごとし
 [関連]:はてブスパムで大人気!?ポジ熊ブログ(@poji_higuma)が熱い - Hagex-day info
 
 リンク先のpojihigumaさんにおいては、もちろん、悪質なブックマーク使用の意図などなかっただろうし、上記リンク先の表明も、それを反映したものと思われる。
 
 しかし、上記記事についたブックマークコメント(の前半)を眺めていると、はてなブロガー同士の“繋がり”――というより“癒着”――に思いを馳せずにいられなくなる。今年になってから、何度このような風景を見ただろう!これもこれでブロガー同士の繋がりに違いなく、とても“村民的”にみえるのだが……。
 
 今、“新・はてな村民同士”が身を寄せ合い、PVやメンタルを支え合う風景を頻繁に見かけるようになったのは、ひとえに(株)はてな がユーザー同士のコミュニケーションを重視し、そのためのネットアーキテクチャづくりに励んできたからだと思う。(株)はてな の人達が頑張ったから“はてな村”にも人が集まるようになり、物凄い量のコミュニケーションが生まれるようになったのだ!もう一度、(株)はてな の努力を讃えよう!
 
 しかし、そうしたユーザー同士のコミュニティとコミュニケーションを促した副作用として、ブックマーク互助会問題をはじめ、いろいろな問題が表面化したのが2015年(のはてなブロゴスフィア)だった。右も左も知らない新規ユーザーが、とりあえずで徒党を組んでブログ記事とブックマークを大量生産する――そのような戦術が成立可能になったのも、(株)はてな がユーザー同士のコミュニティやコミュニケーションを重視してきたからにほかならない。
 
 これらの問題は、間違いなく、(株)はてな の生存戦略の成功と表裏一体の関係にある。はてなブックマークやはてなブログの成功に伴って発生した、残念な弊害……と言わざるを得ない。これからブログを始めるユーザーを無用な炎上から守るという意味でも、好ましい状況とは思えない。
 
 [関連]:プレイヤーとキュレーターの兼任が増えたはてなブックマークは総じてクソ - 太陽がまぶしかったから
 
 

  • “新・はてな村”に幸いあれ

 
 私は、(株)はてな が自社のネットコミュニティやネットコミュニケーションを大切にしている姿勢をありがたいと思っているし、手早く文章を作成できるはてなブログはつくづく便利だと思っている。それだけに、そろそろ可視化されてきた“新・はてな村”の功罪がこれからどう評価され、どのように軌道修正されていくのか、注意深く見守りたい。どうか、このかけがえのないネットコミュニティが、2016年以降もうまく回っていきますように。
 

*1:いや、たぶん所属欲求も