シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

クリームソースのこってりした料理に合うワイン

 
 シャンパーニュ
 
 リンク先は微笑ましいノロケ話でした。ワインについての蘊蓄はオマケですね。
 

「その話、他所でしたらダメだよ。ぜったい面倒くさい奴って思われるから」
俺は黙って奥さんの肩に手を置き、反省のポーズを取った。
奥さんは満足そうに俺の頭を撫でるのであった。

 いやいや幸せそうですねー。
 
 ですが、シャンパーニュの蘊蓄話を読んだ私は、全力で重箱の隅に突っ込みたくなったのでした。
 
 リンク先によれば、「鯛のカルパッチョ、パプリカのマリネに鮭と茸のクリームパスタという晩御飯だったので、スパークリングワインを開けることにした。」とのこと。選んだスパークリングワインはロワール産で、それが【スパークリングワイン≠シャンパン】という蘊蓄語りのきっかけになったみたいです。
 
 でも、この食べ合わせって、どうなんですかね?
 
 まあ、ワインの食べ合わせなんてガタガタ拘っても仕方ないとは思いますよ。ワインを買った人が好きに飲み、好きなように食べればいいに決まっています。でも、「これだけはどうにもならない」って食べ合わせもあって、たとえば、醤油の利きまくったイクラにワインを合わせると、生臭さがいやがうえにも引き立ってちょっと悲惨です。新鮮な魚介類にタンニンのふさふさしたオーストラリアやチリ産の濃厚赤ワインを合わせるのも考え物だし、血の滴るようなサーロインステーキに軽量級白ワイン*1を合わせるとワインが何をやっているのかさっぱり判らなくなってしまいます。
 
 鯛のカルパッチョ。これはまあ、スパークリングワインならまず大丈夫でしょう。
 パプリカのマリネは……マリネのソース次第のような気はします。
 問題は、鮭と茸のクリームパスタ、です。
 
 鮭と茸のクリームパスタ。濃厚な味わいが想像されますね。スパークリングワイン、とりわけ酸と苦みがしっかりした、全体的に野太いシャンパーニュなら、バッチリお付き合いしてくれそうです。フランスの白ワインなら、アルザスのピノ・グリや南部のシャルドネも大丈夫そう。新世界でつくられているスパークリングワインもたぶんいけるし、いっそ、軽めの赤ワインをぶつけたって美味いんじゃないでしょうか。
 
 ところが、ロワール産のスパークリングワインではこうもいきません。
 
 ロワール産のスパークリングワインには値段が手頃でおいしいものが多く、前菜やシーフードのお供としていけています。酸味がしっかりしていて、酸っぱいワイン愛好家の私にとってありがたい限りです。
 
 ところがロワール産のスパークリングワインには「こってり」「しっかり」感があまりありません。酢橘や柚に近いような柑橘系フレーバーのせいかもしれませんが、あっさり・さっぱりとした風味のものが多いんです。暑い夏の日にガブガブやるには最高だけど、濃い食べ物に合わせると調和がとれず、黙りこくっていることがあります。
 
 ロワール産に限った話じゃないけれども、お手頃価格のスパークリングワインのなかには、味や風味のスカラー量が小さく、爽やかに楽しめる反面、濃い料理とのお付き合いが苦手な一群があるように思います。よく「シャンパンはどんな料理にも付き合ってくれる」と言うけれども、それはシャンパーニュ、それも一定レベル以上のシャンパーニュならそうだという話で、細身のスパークリングワインにはあまり当てはまらないのでは?クリームソース系のような濃いめのものを食べる時は、相応に味のしっかりとしたスパークリングワイン(財布が許してくれるならシャンパーニュ)を持ってくるか、濃い白ワインを連れてきたほうがおいしいと思います。
 
 いやー、無粋な蘊蓄ですねー、面倒くさいツッコミですねー。すみません。すみません。でも、こういう無粋を働けば「その話、オフ会でしたらダメだよ。ぜったい面倒くさい奴って思われるから」ってうちの嫁さんにも言って貰えるんじゃないかって期待してたんですけどー、嫁さんがお昼寝の最中でウンともスンとも答えていただけませんでした。がっくし。
 
 

クリームソースの料理に付き合ってくれそうなワイン達

 
 それはともかく、自分ならどんなワインをクリームソースな料理にあてがうか、考えてみました。
 
 1.アルザスのピノ・グリ

 
 この、ピノ・グリって品種の白ワイン達は、全体的にコテコテな体質で、スモーキーな風味を備えていることが多いです。クリームソースのパスタにも難なく対処してくれ、豚肉料理なんかが相手でもビクともしません。反面、海鮮料理と一緒にやると魚の風味とスモーキーさが喧嘩してしまうこともあるので、白ワインにしては陸地の料理との相性が良いようです*2。ここではフランスのアルザス産を挙げましたが、オーストラリア産やニュージーランド産でも問題ありません。1000円ぐらいのピノ・グリでも全然オーケー。
 
 
 2.チリ産の白ワイン
NIKKEIプラス1何でもランキング第4位!チリのクオリティワインの生産者として確固たる地位を築...

モンテスアルファ・シャルドネ
価格:1,814円(税込、送料別)

 
 クリームソース系の料理に合わせるなら、いっそチリ産やカリフォルニア産の強い白ワインをぶつけるのも手かもしれません。フランスやイタリアの細身な白ワイン連中と違って、味のスカラー量が全体的に強めなので濃い料理にもノックアウトされません。むしろ、繊細な料理を蹴散らしてしまうかもしれず、鯛のカルパッチョとの相性ならロワールのスパークリングワインのほうが良いかも。でもクリームソースの料理や濃厚な魚料理には断然こっち。
 
 
 3.シャンパーニュ
 
 で、安定のシャンパーニュ。正体不明な安物はわかりませんが、名の通ったメーカーのものなら、だいたい大丈夫なんじゃないでしょうか。ここで挙げたローランペリエなら、比較的コッテリ系&漬物臭も少なめなので、クリームソース系にもバッチリだと思います。ただし、この価格帯のワインばかり買っていると経済的にしんどいので、普段は割と濃そうなスパークリングワイン――カリフォルニア産、オーストラリア産、チリ産など――を選んでいます。
 
 
 4.ボジョレーヴィラージュ
 
 あまり濃くない赤ワインもいけるんじゃないでしょうか。ここではボジョレーヴィラージュを挙げました。ちなみにヴィラージュのついてないボジョレーはハズレが多いのでパスです。ボジョレーヌーボーを馬鹿にする人は多いし私も嫌いですが、ボジョレーヴィラージュは別。濃い赤ワインにありがちな剣呑さが無く、人当たりが良く、あまり料理を選びません。バターソース系の魚料理、鶏肉料理や豚肉料理、トンカツ、唐揚げのたぐいには付き合ってくれるんじゃないでしょうか。
 
 最近私は、日本でボジョレーヌーボーが売れまくった理由のひとつって「ボジョレー系の汎用性の高さ」にあるのかな?と思ったりしています。ボジョレー系のなかでもヌーボーはフニャフニャしたワインなので、オードブルの皿に載っているような食べ物とは付き合いが良いと思うんですよ。特定の料理と絶妙な相性をみせるわけじゃないし、典雅なワインでもない。けれどもシーフードも含めた幅広い料理とお付き合いできるってのは、ボジョレー系の長所だと思います。しつこいようですが、ボジョレーヌーボーは私の好みじゃありませんけどね。
 
 ほかにも「イタリア産のトラミネール・アロマティコはカルボナーラに合う」「なにげにドイツ系の甘口ワインもいけるのでは?」とか考え始めるときりがないので、このへんで。
 
 

では、今日も良き一杯を!

 
 ちなみに、こうやってワインの食べ合わせについてあれこれ考えるのは暇つぶしみたいなもので、あまり真に受けないでくださいね。深く考えず、今日も楽しく、節度をもって呑みましょう!
 

*1:ソアーヴェやミュスカデのような

*2:ちなみに同品種のイタリア版、ピノ・グリージョは全体的にもう少しアッサリしているので海鮮料理との相性問題はかなり緩和されています。