シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

充たされた承認欲求、あなたは何に転用しますか?

 

 植物が水や日光を吸い込んで瑞々しく輝くように、
 きみはその充たされた気持ちでどんな風に輝くのかい?
 ブログやtwitterで集めた承認欲求のエネルギーを、どこのどんな目的に使うのかい?

 
 先日、twitterで呟いたらリツイートが200ぐらい、favoriteが200ぐらいありました。ネット承認欲求うめぇ、マジうめぇ。我ながら浅ましい感覚ですが、こういう時の快感は否定できるものではありません。
 
 嬉しい反面、承認欲求って集めるだけ集めてもしようもないものだと頭ではわかっています。天にも昇る陶酔を味わったとしても、そんなものは三日もしないうちに消えてしまうでしょう。承認欲求は貯められませんからね。
 
 だからこその冒頭の問いです。アテンションを集めてキラキラした気分・明日か明後日には消えてしまう承認欲求のエネルギーをどういう事に用いて、何に転換するのか?これって、結構重要な問題じゃあないでしょうか。
 
 ただ焚き火しただけでは、燃焼エネルギーは逃げていく。けれども蒸気機関のようなかたちで用いれば、燃焼エネルギーを馬力に転用できます。これと同じことが、承認欲求をはじめ、心をネットで充たしている人達にも言えると思うんです。
 
 リツイートや「いいね!」をかき集めた後、恍惚としたままネットを眺めている人もいるでしょう。でも、それって勿体ないですよ。精神の燃料、精神のガソリンが燃え落ちていくのを黙って見ているのと変わりません。せっかくだから、その高揚した精神エネルギーを建設的な何かに転用することも考えてみましょうよ。
 
 かく言う私も、このブログで承認欲求*1を集めながら、そこで得た恍惚のエネルギーを他の諸々に費やしてきました。せっかくネットで心理的に余剰エネルギーが生じているんだから、猿みたいにマウスをクリックしまくるのをやめて、1時間……いや30分でもいいから、その高揚気分をクリエイティブな目的に転用するのです。たまにネットの反応を見て承認欲求エネルギーを補充し、また必死に研鑽や修練に励みます――これを、熱が醒めるまで繰り返すだけでも、かなりのモチベーションが得られます。私が比較的短期間に書籍を4冊*2仕上げられた要因の何割かは、この「ネットで得られた心理的余剰エネルギーを修練に注ぎ込む」サイクルを確立したからだと思っています。
 
 ブログやtwitterで得られたエネルギーを異なる分野に注ぎ込んだって構わないじゃないですか。
 
 もし、この話に技術上の難点があるとしたら「得られた承認欲求エネルギーを、どうやって当該分野に注ぎ込むか」でしょうか。しかし、ネットが出来ない部屋に籠もる・LANケーブルを抜く・無線LANの電源を落とす、等、ネットを閲覧するのに要する手間を増やすだけでも、かなり実行しやすくなります。恍惚感に溺れるのではなく、恍惚のうちに修行すれば、あぶく銭のようなモチベーションとて後に残るかたちに転化できるでしょう。
 
 物質世界でも心理世界でもエネルギーとは力であり、それを使いこなせるかどうかが物事を大きく左右します。しかし、そのエネルギーを適切なかたちに転換する方法を欠いていれば、どんなにエネルギーに満ち溢れていても力として具現化させることはできません;ネットで心理的に充たされる機会の多い人は、このことを承知のうえで、自分がネットで獲得した心理的エネルギーをどこでどういう形で用いるのかを小一時間考えてみてください。風船のような心理的充足が萎んでいくのを、ただ眺めて喜んでいるだけでは勿体ないですよ、せっかくだから何かに使っちゃいましょうよ。
 

*1:や所属欲求

*2:電子書籍1冊含む