シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

嫁さんと『Gのレコンギスタ』

 
 アラフォーの私から視た『Gのレコンギスタ』は、退屈させるところのない、観ていて楽しい作品だ。登場人物の思惑の違いや派閥内外のドロドロをこれでもかと想像させてくれる。
 
 ただ、この作品は子ども向けにはみえない。わかりにくいし、複雑だし、シーンや台詞のテンポに癖がありすぎる。
 
 宮崎駿監督の『ラピュタ』や『トトロ』のように、「子どもでも大筋は理解できて楽しめる」「成長してから見返すと、子ども時代に気付かなかった面白さを再発見する」つくりなら、それは子ども向けと言って構わなそうだが、『Gのレコンギスタ』はそういう作品ではない。視る者が所定のアニメリテラシーをクリアしていてはじめて面白さが炸裂する、そういう作品にしかみえない*1
 
 で、うちの嫁さんがこの『Gのレコンギスタ』を気に入っていく過程が興味深かったので、書きとめておく。
 



 

  • 放送開始からかなりの期間、「誰が敵で誰が味方かわからない」「誰が誰と戦っているのか」と陣営のばらつきに戸惑っていた。キャピタルガードとキャピタルアーミーの違い・法王・クンパ大佐・運行長官 etc...――このあたりが一枚岩ではなく、それぞれプレイヤーだという構図が、服装の類似性も相まってわかりにくかったらしい。飛び飛びの台詞で仄めかされていたけれども、分かりにくかったのは確か。
    • こうした分かりにくさの比較対照として、「『ガンダム00』は分かりやすかった」「『ルルーシュ』のほうがすっきりしていた」としばしば仰っていた。

 

  • それでも嫁さんは、アメリア軍が幅を利かせてくる頃から「プレイヤーそれぞれが思惑を持ってバラバラに動いているのを観るのも楽しみのうち」と心得てきた。アメリアの大統領が宇宙艦隊を出撃させようとしているのを見て「アメリア軍も一枚岩じゃない……」と呟いていたのは嬉しかった。やった!なんだか理解してくれるようになったぞ!パイロットそれぞれの言動にも注意を払うようにもなってきた。

 

  • このあたりになってきてやっと「Gのレコンギスタは面白い、これはこれで面白さだ!」と褒めてくださるようになった。台詞の字面を棒読みしているだけでは駄目で、台詞の向こう側に想像力を働かせてナンボと気付いてくれたみたい。そうだ、考えるんだ!

 

  • ただし、個々のキャラクター造形には終始否定的。特に主人公。「何考えているのかわからない」「というより何も考えていないか、心が無い人間みたいに感じる」と。
    • “いわゆる冨野節”にもあまり感心していない様子。

 


 ともあれ、最初は全く評価していなかった嫁さんが、『Gのレコンギスタ』の面白味を拾い上げてくれたのは嬉しかった。富野信者でなくても、ロボットアニメをそれほど見慣れていなくても、この面白さは理解可能なのだ!たぶん。
 
 それでも彼女は「これはとても不親切なアニメだ」「ヒットするとは思えない」と今も仰っている。私も『Gのレコンギスタ』が大ヒットするとはどうにも考えにくい。こんな、ついて来れる人だけを喜ばせる作品では向こう受けはどうしたって悪いように思えるからだ。
 
 けれども、その、ヒットするとは思えない面白さをぶちまけてくださる富野監督には、是非このまま突き進んで頂きたい。冨野監督らしくないアニメに直面するよりは、そのほうがずっと幸せだ!私達は、歴史に立ち会っている!!
 
 飽きてきたのでこのへんで。
 

*1:そのうえ、この作品を観る際に求められるアニメリテラシーとは2014年相応のソレとはずれているように思えてならない