シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

背中を丸めながら『ロウきゅーぶ!』で懐かしむ

 
 

ロウきゅーぶ! 1 【初回生産限定版】 [Blu-ray]

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 今期のアニメも、そろそろ後半。よりどりみどりのレパートリーのなかで、気がついたら『ロウきゅーぶ!』を思った以上に楽しんでいる自分がいた。この、ヒロインが小学生ばかりのロリコン風アニメを、まさかシュタインズゲート並みに毎週楽しみにすることになるとは!まったく、小学生は最高だぜ!どうなっちゃっているんだろう。
 
 『ロウきゅーぶ!』のどんな所に自分が惹かれているのかは、なんとなく察しがついている。
 
 あのオープニングやエンディング、そしてキャラクターの振る舞いや服装を見ていると、エロゲーが今風に洗練されていく途上の頃――特に21世紀になって間もない頃――のことを思い出す。小学生ヒロイン達が殆ど前提条件のごとく主人公になつくハーレム的展開・あざとい制服・台詞のあちこちに仕組まれたダブルミーニング etc…。今風といえば今風の造りながら、その、どぎつすぎるあざとさとロリコン風味のおかげか、古い時代の記憶巣を想起させられた。釣り針だらけのアニメだと感じた。
 
 もし、ロウきゅーぶ!が10年前につくられていたら、さぞ新鮮な印象を受けたかもしれない。しかし今は2011年。ヴィジュアルノベルの盛期が過ぎ、(多くの人にとって)記憶も楽しみも過去のものになりつつある時間経過のなかでは、アニメ『ロウきゅーぶ!』のテイストはいかにも懐古調にうつる。『バカとテストと召喚獣』第二期でさえ時の流れを感じさせるスピードのなかでは、まるで伝統芸能のようだ。いや、今はまだ伝統芸能ではなくとも、もうじき伝統芸能の域に到達してしまうような。「あの時代の作風」としてタイムカプセルから掘り起こされるような。
 
 もちろん、『ロウきゅーぶ!』は手抜きには程遠い。絵も音楽も丁寧につくってあると思うし、バスケのシーンなどではキャラクターがきちんと動いている。声優さんの仕事もいい。そういった諸々のリソースを総動員して、2011年という爛熟の季節にふさわしい完成度で、秋葉原が一番“萌えっ”としていた頃を彷彿とさせるのエロゲー的世界観なアニメをこしらえている。ありがたいことだ*1
 
 こうした、2000年頃のヴィジュアルノベルやエロゲーの雰囲気や作風をフィードバックした作品をリアルタイムで楽しめる状況は、もうそんなに長くないんじゃないかと思う;ヴィジュアルノベルはビジュアルノベルで独自の進化を続けているし、かと言って、他のメディアが往時のヴィジュアルノベルやエロゲーの様式を積極的に取り入れたがる時勢でも無いだろうから。そういった意識で『ロウきゅーぶ!』を眺めていると、夕日の残光を眺めながら昼間の熱気を思い出すような気持ちになって、おっさんのサンチマンタリズムが測定不能の域に達しそうなのでございますよ。ブヒー。
 
 コンテンツの流行り廃りは必然。だったらなおさら、昔、自分が好きだった作風を思い起こすようなスタイルの作品に出遭ったら、ラッキーだと喜んで観ておこうと思う。いつまでも、あると思うなコンテンツ。尤も、歳を取ってくると、自分が好きだった作風の作品に出遭いにくくなること以上に、新しい作風やスタイルの面白さに気づきにくくなってしまうことのほうが問題かもしれないけど。
 

*1:もちろん、こういう懐古的なアングルからだけで『ロウきゅーぶ!』の良し悪しを専ら議論するのは、薦められたことではない。