シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

オタクが豚になった――「萌える」から「ブヒる」へ

 
 http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-723.html
 
 
 オタク界隈で「ブヒィイイ!」「ブヒる」という表現を見かけるようになった。
 どうやら、豚になってしまったオタクがいるらしい。
 
 観測範囲では、こうしたブヒる人達は2010年末から見かけるようになったが、“豚野郎ども”は、もっと昔から存在したのかもしれない。少なくとも「萌え豚」という表現は少し前からそれなりの頻度でネット上に流通していたのだから。
 
 

「萌える」→「俺の嫁」→「ブヒる」という流れ

 
 とはいえ、美少女キャラクターへの「ブヒィイイ!」「ブヒブヒ」といういななきを目の当たりにすると、時代の流れを感じずにいられない。
 
 十数年前に、男性オタク達は「萌える」という言葉を発明した;「萌える」という言葉を使えば「セックスしたい」「愛してる」といったストレートな表現を避けながら、美少女キャラクターへの思慕をオブラートに包んで表現できる。内気な男性が多かった当時のオタク界隈において、「萌える」のような繊細で婉曲な表現は重宝するものだった。
 
 それがいつしか、「萌え〜」という単純なリビドーの叫びに変貌し、「○○たんハァハァ」「俺の嫁」といった表現に代替されるようになり、ついに豚の鳴き声にまで到達したのである!ブヒィ!
  
 どうしてこうなったのだろう?
 
 ひとつには、“インターネット空間で趣味ごとの棲み分けが進んだお陰で、よその誰かに恥じらう必要がなくなった”というのもありそうだ。しかしそれだけなら、わざわざ豚まで身を落とす必要もあるまい(「○○たんハァハァ」のような表現で十分である)。なにか、「俺って卑しいやつです」的な自嘲の念が含まれていればこそ、「ブヒィイイ!」が選ばれるようになったのか?
 
 昔、自分のことをピュアで女の子思いだと信じたかったオタク達が、歳月の流れるなか、「俺の嫁」をとっかえひっかえしていくうちに、汚れた自分に気付いてしまって豚になってしまったのか?
 
 それとも「口を開けて待っているだけで最優秀のコンテンツにアクセスできる」という現実を踏まえたオタク達が、「俺は、口を開けてエサを待っているだけの豚だ。ぶくぶく太らされた豚だ。だがそれがいい。」と自嘲半分・居直り半分の境地に至って豚になってしまったのか?
 
 あるいは、メタ視線や考察的態度にうんざりした一派による、「なんにも考えずに楽しんで何が悪い!」という立場表明なのかもしれない。
 
 確かなことは分からないが、ともあれ、美少女キャラクターへのパトスはまだまだ健在で、“豚野郎ども”の饗宴は続くのだろう。
 
 [関連]:弛緩した「萌え〜」からは、萌えオタ達の複雑で必死な心情が伝わってこない - シロクマの屑籠