シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

平日夕方がお似合いじゃないか?――『侵略!イカ娘』

 
 

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 とにかく楽しかった。
 
 一年を振り返って、今年いちばんたくさん笑ったアニメは、たぶん『侵略!イカ娘』だったと思う。一見手抜きのようにみえて滅茶苦茶丁寧につくられていたり、凝っているところは凝っていたり。余計なことを考えず、見ていて素直な気持ちになれる作品でもあった。
 
 で、友人から聞いた話だと、『イカ娘』を幼稚園児にみせたらとても受けが良かったらしい。すっかり気に入ってくれたとのこと。
 
 確かにそんな気もする。深夜アニメにありがちなオタクネタ・恋愛ネタ・学校行事ネタは、小児にはわかりにくい。ところが『イカ娘』の場合、そういうのが控えめなので幼稚園〜小学校の子どもにも楽しみやすい。ちびイカ娘の話やビニール傘の話は見事なもので、大人が見ていても心が洗われる内容だった。
 
 また、twitter上で、こんな声を聞いたこともある。“『イカ娘』は『オバケのQ太郎』的な何か”、と。なるほど、『イカ娘』を見ていて遠く懐かしい感覚を覚えるのは、そのせいなのかもしれない。野球やビーチバレーの回の、あざとい昭和的なカットを除外して考えても、幼い頃に見ていたアニメを連想させるなにかがあった。
 
 これらを総合すると、『イカ娘』って、やっぱり小さな子ども向けアニメとして出来がいいんじゃないかと私は思う。クリスマスやお正月のプレゼントに『イカ娘』のBDをあげるとというのは、“アリ”なんじゃないかと。
 
 

なぜ、子ども向けアニメが深夜帯に放送されているのか

 
 ところが実際に『イカ娘』が放送されていたのは、大きなお友達がアニメをみる深夜帯だった。もったいない!本当なら、日曜の午前中か、平日の午後5時前後ぐらいに放送されるのがお似合いのように見える。
 
 なぜ、良い子の寝る時間に『イカ娘』が放送されてしまったのか?
 
 もちろん、大きなお友達を主要視聴者と目論んだからだろう。「こういうアニメなら大きなお友達にウケがいい」という製作者サイドの読みがあったに違いない。実際、それは間違っていなかっただろうとも思う。予算なども含めた、大人の都合というのもあるだろうし。
 
 しかしその一方で、ここまで子ども向けテイストのアニメが大人向けとみなされてしまっていることには、今更ながら衝撃を受けずにいられない。少女のポルノまがいな裸体が出てくるような、今日日の深夜アニメの時間帯に、こんなに無邪気な作品が放送されて、実際に大人の喝采を浴びているのである。
 
 『オバケのQ太郎』が放送されていた当時、大の大人が『オバケのQ太郎』を毎週楽しみにしていたかというと、たぶんそうではなかったと思う。ところが、現代の『イカ娘』は、大人のアニメの時間帯に、大人が楽しむであろうと想定されて放送されているわけだ――子ども向けの放送時間帯を差し置いて。
 
 誤解ないよう書いておくと、大人が『イカ娘』や『オバケのQ太郎』を見て楽しむことがいけないとは私は思わない。見たいと思う人は見るのがいいし、私だって楽しんでいる。ただ、過去だったら子ども向けとみなされるであろう作風の作品が、大人向けとして深夜帯に放送され人気を博しているという状況の意味するところに思いを馳せると、なんだろうなぁと首をかしげたくなる。
 
 よくある美少女風の深夜アニメとは違って、この『イカ娘』、エロな想像力を膨らませるようなあざとさが少なめなので、エロな欲望や恋愛感情を代償するのが主要な楽しみ方という風には考えにくい。なら、この作品は視聴者のどういうニーズを充たしていたのか?ピュアな感情に飢えているのか?それとも単なるノスタルジーなのか?それとも…?
 
 エロなあざとさを欠き、子ども向けな情景描写やギャグが満載の作品だけに、いつも以上にこういうことが気になった*1
 

*1:カードキャプターさくら等の時も気にはなったけど、あの頃はオタクはロリコンが多いだろ、ぐらいにしか思っていなかったが…たぶん、そうではないのだろう