シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

非婚化・少子化問題だけでも、滅んでおつりが来そう

 
http://www.ipss.go.jp/syoushika/seisaku/html/112a2.htm
http://2ch774.blog55.fc2.com/blog-entry-214.html
 
 上記二つのリンク先を見る限り、
 
 
かなりのペースで20〜30代の非婚化が進行中
 
 
 のようにみえる。家庭を持たずに生きていく人・子どもをつくらず生きていく人が、凄まじい速度で増加しているわけだ。この状況下では、“子育て支援”とやらをやっても、あんまり子どもは増えないような気がする。なにせ、そもそも配偶する人が減っているんだから*1
 
 
 この非婚化&少子化は
 
 ・経済的問題や教育コストの問題
 ・若い男女それぞれが、経済的に独立する率の増加
 ・独居でも、家電製品やサービス業を使えば生活は不自由しない
 ・我が身ひとつの、今の欲望しか視野に入らないパーソナリティの蔓延
 ・男女それぞれの、異性に対する要求水準の上昇
 ・男女交際の自由化による、極端に魅力のあるプレイヤーの寡占的優位
 ・地域や会社などでのお見合い制度の衰退
 
 などなど、多様な要因が重なり合って起こっているもので、単一の原因で進行しているわけではない。あれこれ加味して考えると、この非婚化・少子化は、この国の社会変化をモロに蒙った根の深いものと推定せざるを得ず、子育てを支援するだけでどうにかなるほど甘っちょろいものではなさそうにみえる。一箇所や二箇所の穴を塞いだぐらいでは、日本の少子化という穴だらけのバケツは、とうてい塞ぎきれるものではないだろう。色々と、手遅れなんじゃないだろうか。
 
 確かに、当該世代の収入の改善だけとか、お見合い制度の復活だけとか、個別の部分についてアプローチすることは可能だろうし、部分的/一時的には効果もあるかもしれない。けれども、この非婚化・少子化は、社会システムの根幹と個々人のパーソナリティや価値観に根深く関わっているものなわけで、個別の対策を否定するわけではないが、全体の趨勢を覆すことは出来ないだろう。
 
 「日本列島の人口がスリムになって万々歳じゃないか」という人もいるかもしれない。日本列島だけが地理的に隔絶しているなら、そういう見方にも一定の説得力はあるかもしれないが、実際の日本はグローバリデーションの只中に存在しているわけで、この、歯止めのきかない少子化の影響は国際関係にも響いてくるだろうし、ひいては国内の産業構造を歪にせずにはいられない*2。他国との政治的あるいは経済的関係の只中にあるこの国は、“経済立国”ということになっているらしいが、人口動態の急激な変化に曝されたままで現行の経済水準を維持するのは、たぶんとても難しい。東アジアの先進中堅国へと軟着陸できればいいが、こんな、もう笑うしかない壷型人口ピラミッドに突き進みながら、そんな芸当が可能なんだろうか?たいへん疑問だ。
 
 

対策は、移民ぐらい?

 
 まだしも現実的で効果のありそうな対策となると、“移民”ぐらいしかちょっと思いつかない。まだ家族や子どもを持つ習慣の残っている地域の人達に日本に来ていただいて、今の若ぇモンが選んでくれないような仕事も、高度な技術職も、ぜんぶ分担していただき、安心して帰化していただけるようなレールを敷くぐらいだろうか?ただし、“ヤマト民族の純潔を守れ”的な反動が強そうだが。
 
 けれども、グズグズしているうちにタイムリミットを迎えてしまうかもしれない。“移民するだけのメリット”が日本円や日本国が残存しているうちならともかく、住みにくいうえに経済力すら失った老国に、喜んで帰化したいと思う人はいないだろう。経済的に衰弱しきった後になってようやく移民を受け入れたところで、誰が来てくれようか。
 
 
 …尤も、日本が果てしなく衰退したとしても、親切な人達が移民してきて“友愛”の精神で強い指導力を発揮してくれれば、いろいろ、マルっと解決するのかもしれない*3。日の丸君が代はご法度になるかもしれないが、なぁに、特別自治ぐらいは許してくれる。
 

*1:シングルマザーが増える、という話は、この国では失敗に終わりそうな気配が漂っている。

*2:というか、90年代以降、既に歪になりはじめている。

*3:随分小さなマルになっちゃうかもしれないが…