シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

現実の女性に「おにゃのこ」と言った際のリスク

 
 某所で「おにゃのこ」という単語についての論議を見かけた。
 オタク系由来の単語だが、最近ではネットスラングとしてある程度は使われているようにみえる。
 
 元来、「おにゃのこ」という単語は(二次元)美少女キャラクターを愛でる際に用いられる、僅かに照れ隠しを含んだ単語だった*1と記憶している。だがこの「おにゃのこ」という単語は、ときどき現実の女性に使われることもあるようだ。僕がみてまわった範囲でも、オタク男性が女性に対して「おにゃのこ」という単語を用いている状況を、オフ会などで少なくとも数回程度はみたことがある。
 
 この「おにゃのこ」という単語、(二次元)美少女キャラクターに対して使われる限りではそれほど問題は無いようなんだけど、現実の女性に対して使われると、女性の側としてはあまり良い気分がしないようである。ためしに、うちの嫁様に聴いてみた*2
 

 俺「女性に対して男性が“おにゃのこ”って言葉を使っているのを聴いたら、どう思う?」
 嫁「なんとなく気持ち悪いと思う。」
 俺「なにがどう気持ち悪いの?単語の語感が気持ち悪いってこと?」
 嫁「人形をかわいがっているような、モノ扱いしているような、そんな感じがする。」

 
 この嫁様の言葉を聴いて、ようやく私は合点がいった。なるほど確かに、「おにゃのこ」は現実の女性にはNGっぽい。
 
 

「おにゃのこ」という語感には、幼女や愛玩対象を連想させるものがある

 
 「おにゃのこ」という単語が現実の女性にはNGな理由は、「いっぱしの大人の女性としてではなく、幼児か萌えキャラのように取り扱われている」「愛玩対象扱いされている」と女性の側に感じられやすい点だと思う。
 
 「おにゃのこ」という語感は、どことなく幼いイメージを抱かせやすく「かわいいでちゅねー」とか「お嬢ちゃん」という言葉にも雰囲気が似ている。赤ちゃんに対して「かわいいでちゅねー」はアリだと思うが、もし成人女性に「かわいいでちゅねー」と言ったら、これはもう侮辱である。それに近い印象を与えやすいのではないだろうか。
 
 また、うちの嫁様からも指摘があったように、この言葉はどことなく「萌えキャラやペットのような、所有対象扱いしているかのような印象」も与えやすい言葉だと感じる。
 
 どちらにせよ、この「おにゃのこ」という言葉の語感は、大の大人が小さな子どもを相手取る時や、ペットや抱き枕のような愛玩対象を相手取る時に似たような響きがある。現実の女性は、庇護を必要としているような幼児でもなければ所有対象や愛玩対象でもない。自律した意志をもった対等な人間のはずだが、この「おにゃのこ」という言葉を投げかけられると、「幼女扱いされているのではないか」「対等な人間扱いされていないんじゃないか」と勘ぐりやすくなってしまうのではないだろうか。
 
 もちろん、「私のことを幼女扱いしているのでは?」「対等な人間扱いしていないのでは?」という感覚は、不満や気持ち悪さ、さらには「この男は自分のことを何様だと思っているんだろうか?」といったエモーションにも変化しやすかろう。男性側にそういう自覚が無いとしたら、不幸なボタンの掛け違いになってしまいかねない。回避するにこしたことはない。
 
 現実の女性は、物言わぬ抱き枕やペットなどとは異なり、相手の発言のなかのひとつひとつの表現や語感をも吟味して相手が何を考えているのか推定しようとするし、表現のミスマッチなどがあれば誤解することだってありえる。そこの所を踏まえるなら、現実の女性に対して、あらぬ誤解を与えやすい「おにゃのこ」という単語を投げかけるのは、コミュニケーションとしてはいかにも迂闊だし、誤解してもいいですよとアピールしているようなものだろう。まあ実際問題として、異性と対等に対峙するというよりも、異性に対する所有願望を膨らませている人間が(男性オタクに限らず)増えている昨今であれば、誤解なのか正解なのか分からないようなシチュも結構あるような気もするが。無造作に「おにゃのこ」という単語を現実の女性に投げかけてしまって、無邪気な顔をしていられる男性の感性というのは、推して知るべしだろう。
 
 ともかく、現実の女性に対して「おにゃのこ」などという単語をやたらと投げかけてしまうようであれば、オフ会などの場で嫌悪や侮蔑の対象となるリスクが非常に高そうだ。ネットスラングとしてはそこそこ流通していても、現実の女性に対しては慎重を期したほうが良い単語だろう。
 
 
 [関連]:ひまなので「おにゃのこ」についてまとめてみたよ - activeエレン
 

*1:この点では、「萌え」という単語の歴史に似ている部分もあると思う。参考:http://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20060504/1146665850

*2:ちなみに、嫁様はこのネットスラングを今日まで知らなかった模様。