シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

中年国家はメタボリック一直線

 
 ニッポンについての喩え話*1、を試みる。
 
 
 
 育ち盛りの子どもはよく食べる。食べて運動して、筋肉も骨格も脳もどんどん大きくなる。新陳代謝が早い身体の成長に追いつくためには、蛋白質や脂質や炭水化物を沢山摂取する必要がある。服だって、一年二年ですぐにサイズが合わなくなって、大きいサイズに新調しなければならない。
 
 しかし、大人になれば代謝が落ちてくるし、身体の成長も緩やかになってくる。育ち盛りの頃と同じ食生活・食バランスを続けていれば、どんどん太ってきてしまって動きにくくなるし、そのような生活が続けばメタボリック症候群になってしまうかもしれない。尤も、人体というやつは上手く出来ているもので、歳をとってくると食べ物の嗜好が変わったり小食になってくる人が多い。運動するように心がけて、身体を絞りこむ人もいる。いつまでも成長期と同じライフスタイルに固執していれば、肥満や動脈硬化といったメタボリックな問題が悪化してしまうだろう。
 
 
 で翻って、今の“ニッポンさん”はどうなんですか、と。
 
 この国は高度成長期を過ぎて、脱工業化社会もいいところな所まで来ている。人口ピラミッドもツボ型目指して一直線な現状は、“老人の国”とまでは言わないにしても“育ち盛りの国”とは言い難い。それなのにこの国のなかには、まだ骨格を新調しようとか、大きな動脈を敷こうとか、そういう執着が蠢いているようにみえる。田中角栄さんの時代などは、加速度的な成長に追いつく為に必死に骨格や動脈を創らなければならなかったかもしれないが、今は、そういう時代ではない。緩やかな壮年期〜初老期にあわせてシェイプアップするなり、風呂敷を折りたたむなりするのが適当のように思えるが、「まだ俺は成長期」とか「まだ本気じゃねーよ」と夢を捨てきれず、成長期の真似事に耽りたい“気分”があるようだ。または「やめられないとまらない」とばかり、成長に供される(と信じ込みたい)諸々のプロジェクトという名の料理を平らげる執着もあるようだ。
 
 人体であれば、食生活を変えるなり、シェイプアップを心がけるなりしないとバランスを崩してしまうとしか思えないことが、今の“ニッポンさん”で平然と行われている、ようにみえる。成長期を過ぎてもフライドチキンやアップルパイばかり偏食していれば、身体の偏りが避けられないのだが…。いい加減、中年の自覚持てよ。成長期は終わったんだから大人の食生活になれよ。そろそろ野菜中心の食生活にしろよ。と言いたいところだが、“ニッポンさん”は相手に健康増進のアドバイスというわけにもいかないだろうし、入院を勧めるわけにもいかない。ドック検査なんかしたら、検査値が真っ赤になりそうだから出来ないだろうなぁ。検査結果を玉虫色に報告するよう、指示されたりして。 
 
 ということで、思春期を忘れられない“ニッポンさん”は、まだまだメタボリックに向かって食欲旺盛のようです。腹や太ももの脂肪がそろそろ重くなってきて、「脂肪切り捨てたいなー」と呻くこともあるようですが、「やっぱ、ハコモノ大盛り、つゆだくに限る」のかもしれませんね。
 
 

追記

 もし、“ニッポンさん”が食欲旺盛というよりも、おなかのサナダムシさんが食欲旺盛だったりしたら、どうしよう。
 

*1:喩えが不適切だったら、この記事は薪になってしまうだろう、と懸念しつつ