シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

現代都市空間におけるコミュニケーション適応戦略の、幾つかのバリエーション(要約)

 
Œ»‘ã“sŽs‹óŠÔ‚É‚¨‚¯‚éƒRƒ~ƒ ƒjƒP[ƒVƒ‡ƒ““K‰ží—ª‚́AŠô‚‚©‚̃oƒŠƒG[ƒVƒ‡ƒ“‚ɂ‚¢‚Ä(”Ä“KŠ‘®)
 
 2/23のネットラジオのなかでは喋りきれなかった事として、現代都市空間におけるコミュニケーション適応戦略の、幾つかのバリエーションについて紹介してみたのが上記リンク先の文章です。
 
 地域社会という共通理解のバックボーンが無くなり、現代の都市空間のなかで文化的に細切れになった状況のなかでコミュニケーションを余儀なくされる私達は、例えばオタクのように、コンテンツを媒介物としたコミュニケーションを行ったり、店員-客といった立場の文脈の内側で、それに沿った形でコミュニケーションを行ったりする機会が多いと思います。また、そのようなコミュニケーションはお互いのストレスを減らし省力化したなかでやりとりを達成したり承認欲求を満たすという意味では、オタクにはありがちな、コンテンツ媒介型コミュニケーションというにも相応のメリットがあるように思います。しかし一方で、オタクのオフ会においてさえ非言語レベルのメッセージのやりとりや空気嫁の問題が混入していることが示す通り、人対人のやりとりをコンテンツ依存型のコミュニケーション“だけ”で完結させることは出来ないでしょうし、まして、街の中での不期遭遇・サービス業に従事している最中のやりとり・まなざしのやりとりのなかではとりわけそうだと思います。
 
 このような状況のなか、コンテンツや文脈の内側で、それらを媒介物としたコミュニケーションに徹するのか、それともより広い範囲で不可避的に問われがちな、文化やコンテンツに依拠しないような部分のコミュニケーションに重きを置くのか、などによって個々人の適応には幾つかのバリエーションを観察することが出来ます。これらの適応には一長一短があって、特定の一つが優れているだとか、万人に勧められる唯一解があるとかいったものは無いようにみえます。以下に、本テキストで紹介した幾つかのバリエーションの名称と、長所短所を書いておきました。もし、ご興味があるようでしたら、上記リンク先の文章をご覧下さい。
 



 
【コンテンツ媒介型/文脈依存型コミュニケーションに特化したタイプ】
 
1.「好きなことだけしていて何が悪いんだ」オタク型

長所:自分の好きなコンテンツを好きなだけ追いかけて好きなだけコンテンツ媒介型コミュニケーションを通して自意識を備給出来る。コミュニケーションの実行機能を成長させなくても、心的ホメオスタシスを保つことが容易。

短所:コンテンツ媒介型の会話なかでしか承認欲求/所属欲求を満たすことが出来ず、知人をつくることも出来ない。よって文化的越境を含むようなコミュニケーションや、コンテンツに依拠しない部分のコミュニケーションで良好な関係を構築したり、自意識を備給したりするのが苦手。
 
 
2.「何でも興味を持っちゃうよ」オタク型

長所:幅広いコンテンツをまなざすことが出来、様々な分野を相対化する視点を獲得出来る。コンテンツ媒介型コミュニケーションに軸足を置きつつも、かなり広い人間関係を構築することが出来る。

短所:好きなことの範囲の狭い人には向かない。幅広いコンテンツをまなざす為のコストが大きすぎる。コンテンツ媒介型にどうしても出来ないようなコミュニケーション(例えば街のなかでの不期遭遇的コミュニケーション)には、別途、非言語コミュニケーションなどが結局要請されがち。
 

 【コンテンツや特定の文脈に依存しない型のコミュニケーションに特化したタイプ】
 
3.DQN型
長所:あまりモノを考える能力は要らないし、特定のコンテンツに詳しくなる必要も興味の幅を広げる必要も無い。きちんと(?)凄めるだけのバックボーンがあれば、都市空間のなかで不特定多数と出会う際、自意識の傷つきを被る危険性を少なくするか、むしろ承認欲求を獲得することも出来るかもしれない。
短所:凄めるだけのバックボーンが無ければ惨めなだけで、腕力にせよ度胸にせよは必要。モノを考えないタイプは結局の所、それが祟ってしまいやすい。無闇に悪いことをしているタイプの場合には、因果が回ってくる。
 
4.見た目で勝負型
長所:先天的に見目麗しく、応分のファッションが整備されていれば、とりあえず初回遭遇の段階・街で見知らぬ人の目線を浴びる場合には、承認欲求を満たして貰いやすい。そのアドバンテージを生かせれば、いかなるコミュニケーションにおいても有利。
短所:結局のところ、見た目だけでは初回効果から先のコミュニケーションは深められない。見た目だけにリソースが極度に偏っていると、「見かけ倒し」「見た目は綺麗で頭は空っぽ」という評価に甘んじることになる

5.ネゴシエーター型
長所:様々な相手との関係構築に有利。極めればディスコミュニケーションの確率を最小化することが出来る。様々なコンテンツや文化圏に乗り出し、様々な人間関係を構築することが可能。
短所:承認欲求や所属欲求以外の面での燃費が悪すぎる(疲れやすい)。上手くマネジメントしきれないと、過剰適応の破綻が待っている。ある程度は、素養も必要と考えられる。
 
 
 
 
 実際には、これらの適応はどれもこれも一長一短で、しかも全てをマスターして完全に使い分けるという事は殆ど不可能に近いため、多くの人は、オールラウンドというよりは、いずれかに軸足を置いた形で生きていくことになると思います。コンテンツ媒介型のコミュニケーションに特化したタイプにはそれ相応の、コンテンツに媒介されないタイプのコミュニケーションを得意とする人にはそれ相応のアドバンテージ/ディスアドバンテージがある筈で、どのような適応戦略をとっているのかによって、対人関係の様相も、心的ホメオスタシスの維持しやすさも、色々に変わってくることでしょう。