シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

blog大戦略兵法(の一例)

 
REVの日記 @はてな
Blog局地戦で、速やかな退却を見た。 - REVの日記 @はてな
 
 上記リンク先の想像力をかき立てられる文章をみていたら、“或る、北極圏の小さな国で慎ましやかに暮らすクマー達の初等戦闘教本”というフィクションでも書きたくなった。衆愚2.0な仮想空間で、火花散らして大戦略。進め進め機甲師団!有利な講和で優越感ゲットだぜ!
 

【ストラテジー】
「戦争とは他の手段をもってする政策の継続である。」というクラウゼ何某さんの格言は、ここでも真である。戦いに勝てば良いのではなく、勝つ必要のある戦いを勝ちにいこう。実際のところ、勝ち負けなんてものは大抵は二の次で、鍔迫り合いの結果として目的が達成されればそれで全く構わないし、目的に適わない戦いは常に不毛である。
・銃声一発即戦闘、ではblog国家を安定させることは難しい。
・大して必要でない戦闘を極力避けることは理に適っている。戦争以外にソリューションが無いなんて状況はむしろ稀な出来事で、平和裏に解決するか、むしろ負けたふりをしたほうがblog独立国の国益に適う場合さえ往々にしてある。
・1対5とか1対10は避けるに越したことはない。と思いきや、烏合の衆であれば意外と簡単に蹴散らせることもある。blog大戦略で勘案すべきは、頭数そのものではなく手強い奴の頭数である。これは、味方の頭数についても言える。
・「テロ国家blogger」「ならず者国家blogger」認定されそうなリスクは、どうしても必要な時しか冒してはならない。だがそもそも、そんな必要性に迫られる時というのは既に十分にストラテジーが破綻している時か、最初から戦闘国家として生を享けたテロルblog国家だと思われる。
・「威信」というパラメータをゲーム画面に表示している戦争指導者は、窮屈な思いをすることになる。ましてや「威信」を最大フォントでゲーム画面に表示している人は、勝ち続けて威信稼ぎしなきゃいけなくなって戦略の幅を縮めてしまいがち。
・窮鼠は猫を噛むもの。敵国首都を電撃占領すれば良いというものではない。殆どの場合、首都を電撃占領できる可能性をそれとなく示すことこそが、最も豊かな果実をもたらす。
・平和主義と貿易主義は、もちろん最高の戦略ではある。それが国益に適っている限りにおいては
・徳だけでは何も出来ないが、徳がなければ出来ないこともある。または徳があったほうが便利なことがある。徳はblog国家の目的ではないが、一手段として、一担保として、無視出来ないファクターとして取り扱う。
 

【タクティクス】
・blogger正規軍は敵国正規軍と戦い、19世紀の戦争のごとく、決戦をもって講和の前提を形成する。
・blog国家間の戦争を長期に渡って続ける必要性は滅多に無い。数度戦い、帰趨が明確になった時点で講和か休戦することを意識して戦う。blog国家間で長期間砲弾を交え続けることは、自身を利することが滅多に無い選択だ。現実の国家間戦争とは異なり、blog国家間の戦いは一方的に休戦を押しつけることが出来ることを忘れてはならない*1
・ゲリラ、国境なきイナゴ団、テロ国家、アノニマス言論解放戦線、などといったイレギュラーな面々と戦うべき理由や意義を、殆どのblogger正規軍は持ち合わせていない。少なくとも、ゲリラを相手に正規軍を投入することが戦術的に有効な場面というのは少ない。顔のみえない相手との非正規戦にのめり込む者は、正規軍を疲弊させるばかりで得るところが無い。
・進撃するのは目的を達成させる為であって、勝つためでもなければ対象敵国を滅亡させる為でもない、ということを指揮官は忘れてはならない*2
・こちらが挑発すれば北極の雪原に攻め込んでくるような相手は御しやすい。こちらを挑発して熱帯雨林に攻め込むよう強いてくる相手は御しにくい。挑発の成功は戦術的にはかなり有利。挑発に乗った時点で戦術的にはかなり不利。
・「わざと負けてみせて」敵の性情を詳しく分析するのも良い。戦略上あまり意味のない小規模な会戦で勝利宣言してみせたりゴリラの胸叩きをしてみせたりするような相手は、あまり強くないことが多い*3
・大規模なblog間戦争を企図する場合、事前に数回程度の強行偵察を行っておく。接敵してみれば分かることというのも沢山ある。最悪なのは、対戦相手について何の事前情報も集めないまま、軍事的冒険にのめり込むというやつだ。ブロゴスフィアにはしばしば、事前情報も集めないまま軍事的冒険にのめり込む愚か者を巻き込むのが上手な戦闘国家が存在する。事前情報が不十分な時は、むやみに戦端を開くべきではない。
・blog軍隊指揮官にとって、退却は恥ではない。退却すべきを退却しないことを恥じよ。または、恥ずかしき退却を恥じよ。退却すべきに退却することは戦術的には全く正しい。
・国土の焦土化が問題にならない限りにおいて、出来るだけ長い縦深陣に敵をのめり込ませるのも良い。生殺与奪をこちらが掌握するまで後退戦に引きずり込めば、たいていは相手が勝手に転んでくれる。
 
【ロジティクス】
・自国や自国基地から遠く離れた戦略目標であればあるほど、精強な陸戦部隊*4は派遣しづらくなる。全く遠すぎる戦略目標の場合には、空爆あるいは人工衛星からの観察が精一杯という場合も多い。自国国境付近で起こった戦闘ならば、正規軍の大部隊を派遣するのも簡単になる。
・「兄貴、戦いは数だよ」と誰が言ったか知らないが、それは必ずしも真ならず。籠城する敵を包囲している側が飢え始める有様では、幾ら数を擁しても戦いにはならない。籠城主がすぐに開門して打って出るような愚か者ばかりなら、こんな心配はしなくて良いのだが。
平和なblogライフではジリ貧、blog合戦に勝たなければドカ貧、というブロガーは既に死んでいる。
・同盟国から補給や支援を受けられる戦線は戦いやすい。逆に、敵国が第三国から補給や支援を受けられる戦線は戦いにくい。兵站を枯らすことの出来ない相手は手強い。また兵站を枯らしにかかってくる相手も手強い。
・「blog空間上にしか兵站線を持たない」などという迂闊は極力回避すること。ブロゴスフィア外に継戦能力を維持する補給線を持っている者は強い。ということは、ブロゴスフィア外に補給線を持たない相手は脆い、とも言える。
・相手の兵站や士気を維持し難くできるなら、労せずして勝つことが出来る。最悪の場合でも、侵攻を食い止めることぐらいは出来る。
・飢えた軍隊や疲れた軍隊は、隙だらけになる。飢えを満たすために戦う飢えた軍隊などというものが、古来精強であった例しが無い
・blog国家の「なかのひと」においても兵站は生命線に違いない。寝食を忘れ、生活リズムを壊してまでblog大戦略に没頭しすぎるのはいただけない。腹が減ったら飯を食え。寝る時間にはちゃんと寝ろ。
・万が一、塹壕戦や消耗戦になってしまった時、最後まで残っていられるのはやはり兵站の強いほうである。
 

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           O 。 
                 , ─ヽ 
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|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ 
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|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/ 
|__|| 从人人从. | /\__/::::::||| 
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────────(~〜ヽ::::::::::::|/        = 完 = 

*1:ただし、休戦に幾ばくかのスルー力が求められることはあるかもしれない。

*2:ごく稀に、対象敵国を滅亡させることが目的で進撃するという事があるかもしれない。もちろん北極圏の小さな国においては、“意図的に他blog国家に引導を渡す”政治的メリットは何も無いのでそんなことはしない。

*3:極めて稀に、愚者のふりをしている手練れが混じっているかもしれないので注意!

*4:山のような論拠のエントリ、とか