シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

正統雷電シリーズの精髄は「入射角」

 
http://a-pure-heart.cocolog-nifty.com/2_0/2007/04/post_9f7b.html
 

 雷電シリーズの面白さは、CAVE系シューティング(いわゆる弾幕シューティング)の面白さとは一線を画している。雷電−雷電2−雷電DX−雷電3というラインは、BATSUGUNをはじまりとするCAVEシューの潮流とも、ストライカーズ1945シリーズの彩京シューの系譜とも異なった、独自のゲーム性を継承していると思う*1
 
 雷電シリーズの面白さは、密な弾幕を回避ことにあるのではない。当たり判定が大きく、弾が比較的高速かつ少ない雷電シリーズには、弾幕らしい弾幕は降ってこない。とはいってもやっぱり難しいし面白い。精密なパターンを創りなさいよというわけにはいかないランダム性も含んでいるし、精密なパターンを創らなくてもクリアすることは出来る。ループ制シューティングなので、点効率に極限まで拘らなければならないわけではない*2。じゃあ何が雷電の面白さで、何が雷電の熟達のバロメータなのか。
 
 雷電の面白さと熟達のバロメータを示すのは、よく言われる「スナイパーの如きザコ戦車の位置を暗記している度合い」ではないと僕は思う。雷電シリーズの難しさというのは、あのザコ戦車の射抜くような弾のせいだけではなく、「ザコ戦車の位置と傾向を知っていてもやっぱり死んでしまうこと」がある点だと思う。一台のザコ戦車にやられる事は少ないけれど、(例えば雷電2三面中盤の島とか)複数の戦車とザコ戦闘機の攻撃が絡むと極端に難しくなってしまう。覚えていても避けきれない何かがあるし、それと向き合うのが雷電シリーズではないかと。
 
 一般的な自機狙いの攻撃は、敵の発砲座標と自機の位置とを結ぶ直線に垂直な移動であればあるほど近距離でも回避出来る。要は、弾の入射角に対して出来る限り垂直方向に回避すれば良いわけで、水平方向に近い角度で避けようとするほど遠い距離を置かなければ命中してしまう。これは全てのシューティングゲームにあてはまる(ごく当たり前の)基本原則のひとつなわけだけど、雷電シリーズにおいてはこの基本原則をいついかなる時もきっちり守りきれるか否かが生死を分ける分水嶺になる。とりわけ雷電2と雷電DXのザコ戦車・ザコ戦闘機の攻撃は、ほんの僅かに軸のズレることのある自機狙い弾*3なので、各ザコの弾の入射角をいかに垂直方向にしていくのかがかなり厳密に問われている、と言えるだろう。画面端で切り返す時も、中ボスや中型機と戦っている時も、ボス戦の時も、殆どこのテーマは一貫してプレイヤーに投げかけられている。様々な制約のもとで複数の自機狙い弾をいかに入射角に対して垂直に回避出来るかによって、生存性は決定的に変わってくるのだ。
 
 そこら辺が端的に顕れているのが、各種空中ザコや「画面下のほうに突如出現する戦車・ボートの類」からの攻撃だと思う。いかに暗記を尽くそうとも、雷電シリーズでは画面下方から出現するザコ戦車や、後方に回り込んで撃ってくる空中ザコからの自機狙い弾をゼロにすることは出来ない。真下や真横からの無慈悲なスナイプを的確に回避出来なければならないのである*4。しかも、このなかにはパターンによって吸収され得ない“撃ち漏らし空中ザコからの一発”が多分に含まれるため、アドリブなしの完全パターンはまずつくれない*5。敵の位置と自機の位置から、敵が弾を撃ってくる時の入射角を常に意識しなければならないのだ。二周目ではこの傾向は顕著で、「敵弾をみてから回避するアドリブ」では間に合わず、「敵が自機に向かって撃ってくる弾の入射角を予測してのアドリブ」の連続によってゲームが進行する。雷電の空中ザコ・地上ザコは嫌なやつばかりだが、彼らが間断なく与え続ける“敵機は自機に向かってどの角度で弾を撃ってくるのか”という問いかけが、雷電の難しさと醍醐味を形成しているんじゃないかと思う。
 
 

雷電 3

雷電 3

(※注:よいこの皆さんにはアーケード版をお勧めします)
 
 
 そういう意味では、雷電3も(問題点も多々あるとはいえ)正統雷電シリーズならではの“陰険さ”を継承していると思う。特に5面の空中ザコや6面中盤の地上物ラッシュの展開などには、ザコからの弾がどのような入射角で飛んでくるのかを問いかける場面が多く含まれている。勿論それらの多くは(残念なことに)暗記によってカバー可能なものの、暗記だけではどうしても撃ち漏らしたザコからの攻撃が混入してしまう。それを捌ききれないプレイヤーは、死を賜るのだ。雷電2やDXに比べると他分野の影響がかなり混入している感はあるにせよ、雷電3は雷電シリーズ独特の難度をまずまず継承していると思う。
 
 そんなわけで、雷電シリーズは「敵の撃ってくる弾の入射角」をとりわけ強く問いかけるゲームだ、というのが僕の理解になる。暗記だけでも駄目。視力検査的弾幕回避でも駄目。乱戦になっても的確に敵弾の入射角を予測し、複数の砲撃すべてを(時間差も考慮しながら)入射角から出来るだけ垂直に回避し続ける楽しみと苦しみ。これはこれで確かにシューティングゲームの難しさのひとつだし、シューターとして学ぶところも大きいと思う。雷電シリーズの難しさに戸惑うプレイヤーも最近ではいるかもしれないけど、“敵弾の入射角を考慮した回避”に敏感になるにはとても楽しい課題になるんじゃないかな。
 

*1:雷電ファイターズは、ゲーム性が結構違っていると思うし、だからこそ正当な雷電の系譜に位置づけられないんだろう。後述

*2:でも雷電3とDXの幾つかのモードではそうも言ってられないけど

*3:その理由は、ザコの攻撃方向が32方向だか64方向だかに制限されていて、そのなかで最も自機狙いに近い方向に弾を撃ってくるから

*4:そのうえ後半面の地上物の配置までもが真横からの砲撃を不可避にしている場合もある

*5:そして、アイテムの動きがこれに拍車をかける