シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

俺の場合、ラノベ選びは外部にアウトソーシングしています

 
 確かに俺は俺なりに「オタなんだろうな」とは思っているし、オタ的なある種の偏執というか矜持というかは持っている、つもりだ。そしてオタクコンテンツと一般に言われそうな諸分野にそれなりに傾倒しているし、同業者のなかでは最も広いレンジのオタク趣味を漁っている、という状況を守る為に(それが有意義か否かは別にしても)あがいているつもりでもある。だけど、広いレンジをカバーするにあたり、最近は手の回らない分野のコンテンツ捜索を完全にアウトソーシング化、つまり他人任せにしてしまっている現状がある。
 
 一応俺の専攻はシューティングゲームなわけで、クリアラー水準とはいえどリリースされるアーケードシューティングゲームはワンコインクリアしてみようという意図は持っている。田舎住まいの故に、プレイせずじまいの作品が幾らか発生するにしても、目の前にシューティングゲームがあるなら自分の目と手で感触を確かめてみる。
 
 シューティングゲームは年間リリース数が少ないし長年クリアラーをやっているからあまり時間がかからないからいいけど、しかしラノベやエロゲーやアニメはそうはいかない。メジャーかつ自分好みの作品を消費するだけでも質・量ともに大変な量だし、そもそも自分好みの作品がどこにあるのかを発見する事自体が一苦労だ。これまで、エロゲーやアニメは店舗巡りをしたり2ch関連スレを覗いたりしてどうにかやりくりしていたが、時間不足の最近ではそれも覚束なくなってきている。エロゲーもアニメも、手を出したらある程度の時間を費やさなければならない(早送りして観るわけにいかないから)だけに、地雷を踏みたくないと思うわけだけどこのままではまとめサイト脳になってしまいそうだ。否、既になりかかっている。
 
 ライトノベル分野はもっとひどい。もともと私はライトノベルを読んでいなかったので、ライトノベルを選択する嗅覚も体系も知らないゼロの状態から作品選びをせざるを得ない。どうやらラノベ界隈が最近ゴソゴソしているらしい、という噂話をネット上で聞いても、どこから手を出して良いのかさっぱり分からないのが現状だ。社会人となった今、よもや「ラノベ千冊乱読!」なんて暇は無い――そんな事をしたらアニメ・エロゲー・シューティング・コンシューマなどの諸分野を放棄するか、ニートにでもならなければならないだろう。
 
 そんなこんなで、今の俺はラノベ選択をノウハウのある数人に丸投げしてしまっている。いやそうせざるを得ない。ラノベ顧問に指定する人達の鑑識眼が確かであるという前提のもと、ラノベ選択は彼らが勧めるものを全面的に採用することにしてしまった。戦車部隊を運用したことの無い国が初めて戦車部隊を運用するにあたって軍事顧問団を招くように、私はネット上の信頼できる何人かをラノベ顧問として作品選びを丸投げすることにした。
 
 もちろん、ラノベ顧問達のオタク的見識・知性については俺なりに十分調査したつもりだ。コンテンツ選択を丸投げする以上、人選をミスると致命的なことになりかねない。自分の好みに近そうで、自分の視点も持ってそうで、経験と知識と見識の豊富な人物が望ましい。安定した頻度でラノベを推薦してくれるという条件も必要だろう。そしていったん一度人選したからには、暫時彼らを全面的に信頼してオススメ作品を消費し、安易には評価を変えない*1。なお、「作品選びを何人かの顧問にアウトソーシングする」ということは、嗜好や文化の面で彼らの影響を受けることに直結しているわけだけど、それは承知しているし、影響を受けても構わなそうな人をラノベ顧問認定しているから問題ない。むしろ、彼らの嗜好や文化を積極的に輸入するぐらいの気持ちでオススメ作品を分けていただく。嗜好や文化の被影響という点では、まとめサイトやwikiよりも個人からのほうが雑多な影響を受けやすいわけだけど、そのほうが好みだ。
 
 残念なことだけど、俺はこれからもラノベ作品選択を外部にアウトソーシングするほかないと思う。もしかすると、アニメ・コミック・家庭用ゲームに関しても段々そうなっていくのかもしれない。なぜなら、そうしなければそれぞれの分野にそれぞれある程度触れておくことが出来なくなってしまうからだ。シューティングゲームのように、リリースされる殆ど全ての作品を殆ど最後まで賞味出来るオタク趣味分野はもはや滅多に存在しない。だとすれば、複数のジャンルの作品を“満遍なく”渉猟するには、幾つかの分野については専門性を完全に諦め、(俺にとってのラノベ分野のように)外部に作品選択をアウトソーシングするしかないなぁと思ってしまう。私はシューティング専攻でありつつもオタク界隈のジェネラリストを目指して無駄な努力をする愚か者なので、ラノベは信頼する顧問団に作品を選んで貰うことにしようと思う。このやり方でキモになるのは、確かな鑑識眼を持っていて自分好みの作品を選択してくれる顧問の人選だ。人選を間違えなければ、アウトソーシングは間違いの少ない、大いなる省力化をもたらしてくれると思う。だが、もしも駄目な人をラノベ顧問なり何なりに任命したら、目も当てられないことになってしまうに違いない。オタクジェネラリストという無謀な夢を抱くからには、顧問選びの、つまり人なりオタなりを観る目を養わなければならない。
 
 いったん頼りにすると決めたラノベ顧問なりアニメ顧問なりは宝物だ。オタク趣味遂行においても、人が石垣であることにはかわりない。佳い作品を教えてくれる人達との縁やブックマークは大切にしようと思う。
 

*1:何年かに一回ぐらいは見直せばいいかな?