私にとっての思春期というのは、間違いなく(今で言うところの)非モテメンタリティに直結した、ルサンチマンと羨望と苛立ちを抱えた日々だったと思う。その関係もあって、私は高校時代から筋肉少女帯の大ファンで今でも時々CDを引っ張り出して聞かずにいられないのだが、相方には筋肉少女帯のテイストがあまり理解して頂けない、ようである。
- アーティスト: 筋肉少女帯,まんが道,JAMES WONG,大槻ケンヂ
- 出版社/メーカー: MCAビクター
- 発売日: 1996/03/23
- メディア: CD
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- アーティスト: 筋肉少女帯,大槻ケンヂ,平田穂生
- 出版社/メーカー: MCAビクター
- 発売日: 1994/04/21
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レティクル座妄想の『ハッピーアイスクリーム』を聞いてノリノリになった私に、相方が話しかけてこう言う。
「ああ、これって要は、デトロイトメタルシティのクラウザーさんの本物バージョンみたいなものだよね」
「だって、不遇の男子が葛藤抱えてメタルやってるんでしょ?」
「非モテサウンドだから、あんたも聞いてたんじゃないの?」
こういう時、なまじ彼女がDMCを喜んで読んで理解しているのが厄介だ。確かに、DMCで描かれているクラウザーさんの心の叫びと、大槻ケンヂが各種作品中でぶちまけている情念は、非常に一致率が高いものだし、もしDMCに不遇のメンタリティを仮託している人が十年前に生まれていたら筋肉少女帯を聴いていた可能性は極めて高い。
とはいえ、どちらの作品もこよなく愛している私としては、両者には幾つかの点で大きな違いがある、とは思う。例えば筋肉少女帯は、一非モテの個人的な葛藤からスタートして娑婆の無惨だけれど必死な諸局面に向かって突き進んだ*1けど、逆にDMCはコミカルな作風へと進みつつあるように、みえる。また、『デトロイトメタルシティ』作中のDMCファン層と、筋肉少女帯を熱心に辛抱しているファン層には大きな違いがあるようにみえる。クラウザーさんの個人的葛藤を、クラウザーさんのファン達は必ずしも共有していない。対して、筋肉少女帯に示される葛藤や無常感は、筋少ファンに多かれ少なかれ共有されるものだ。
確かに、筋肉少女帯とDMCに描かれている、不遇の男子としてのメンタリティ*2には共通点があると思うけれども、このように両者は似て非なるものなんだよ、という事はやっぱり感じるし、筋肉少女帯もDMCも好きな一男子としては主張したくなる。
さて、問題はこの違いをどうやって相方にわかってもらうか、だ。
「はいはい非モテ非モテ」と言われたり「ぼくちゃんすごいでちゅね〜」と言われたりせず、ウザがられず、果たして伝達出来るのだろうか?こんな事に固執するのはあまり利口なことではなさそうだけど、やらずにはいられないのでやってみます。ノ