シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

ブログ上のあなたは、脳並列化をする側?される側?

 
 ネットでブログでつながるのはとても楽しい。静的なウェブサイトに比べて、他人と情報の入力・出力が頻繁に発生するのが面白い。自分で考えたことの続きを他の人に考えて貰ったり、自分が漠然と思ってはいたけれども文章に出来なかった意見をまとめて頂いたりしやすいブログの構造は、擬似的・原始的なレベルにせよ、自分の脳と他人の脳を接続し、並列化したような効果を生み出すことが出来る。とりわけ、「キーワードでつながる多機能ブログ」を謳うはてななどは向いているといえるだろう。
 
 でも、本当に「並列化」なのかな?かな?
 
 少し違うような気がする。よくよく考えたら、「並列化」なんて夢まぼろしなんじゃないですか?ねえ、あなたの生産コンテンツって、殆ど某有名ブロガーの問題提起を再確認するだけのものじゃないですか?または、あなたがブログをみて考えた内容って、どこかの煽動ブロガーの受け売りの焼き直しなんじゃないですか?
 
 果たして、あなた「が」考えたいことって、どれぐらい他の繋がったブロガー「に」考えて頂いてますか?
 逆に、他の繋がったブロガー達「は」、どれぐらいあなた「を」特定の思考に縛り付けたり意見エコー増幅装置として使ってますか?
 
 こうやって考えてみると、並列化並列化とはいうけれども、意見や考察の主体者として能動的に議論を巻き起こすブロガーと、他所の誰かが考えた意見や考察を修正したり反芻して意見エコー増幅装置としてばかり機能しちゃっているブロガー、という傾向はあるんじゃないかという視点が得られる。あくまで傾向であって相対的な傾向としての話だけれど、「声がでかかったり意見が尖がっていたりといった他のブロガーの脳を駆動させる何かを持った連中が、他のブロガーの脳を並列化して考察を拡張したり増幅したり」しまくっていて、「声が小さかったり他人の考察をいつも大口開けて待ち受けている多くのブロガー側は、そんな連中に脳やブログを提供してセメントや拡声器を提供している」、というわけだ。 
 実際には、ブログだろうが人間関係だろうが、それが双方向的である限りにおいて*1、「一方が一方を常に使役」という図式や「一方が一方にだけ影響を与えて」という図式は有り得ない。間-主観的な関係はお互いに常に相対座標的であり、影響は双方向的であり続けると考えるのが適当なわけだけど、影響力の相対的な大小というものはやはり存在するに違いないわけだ。となると、はてなダイアリーなどのような「とりわけ脳の並列化が起こりそうな、ブログ空間」において、影響を与えたり考察をバラ巻いたりする側と、被影響的だったり考察をエコーしちゃうばかりだったりする側の相対的相違相対的差異が現れてくるのも当然で、特にブログという脳の並列化度合いが進んだ状況であればあるほど、こうした相対的な違いが強調されてくるのではないかと思われるのだ。
 
 アルファブロガー*2という言葉の意味とはまた別に、ブロゴスフィアには相対的に強力な使役者・影響者が存在して、自分の考察をバシバシ他人の脳に埋め込んで、そこで再考察させている人がいるのは間違いないと思う。逆に、ひたすら他人の考察や意見の増幅者・拡張者として機能している人がいるのも結構みかけるような気がする。私が観察する限りにおいては、そんな風にみえるのだ。
 もちろん、前者だけが得をしていたり優れていたりすると言いたいわけじゃない。後者は後者で色々なアイデアをむしろ積極的に他人から毟り取ってきて*3楽しい日々を過ごしていたり、増幅者・拡張者として専門特化を遂げた果てに「あそこの増幅者は意見のまとめとして秀逸だ」「あそこの増幅者を意見の回収のフィルターとして使おう」とみんなに重宝される知恵者も存在するわけなので。件の知恵者の場合、脳の並列化をされる側とは形ばかりで、まるで寄生虫の如く上手いこと養分を吸い取って色々アウトプットしているわけで、能動/受動だの優等/劣等という評価軸で比較するのはあまり適当ではない*4
 
 さて、あなたは並列化をする側だろうか?されるだけの拡声器だろうか?それとも、意見や考察の提供者の増幅者・拡張者として強い機能を発揮するタイプだろうか?どのタイプが良い悪いという問題じゃないけれど、願わくは、あなたが望んでいる状態と、あなたが実際にそうである状態とが、一致しますように(たぶん、一致しないと辛いかもしれないから)。
 

*1:一方向的な状況、例えばサイト運営者とROMな読者の関係や、すでに著者が死んだ名著と読者の関係などはこれに該当しない

*2:そういえば、このアルファブロガーという言葉もすっかり煤けてしまいましたね

*3:RSSなどはその為のツールとしてもちろん有用だ

*4:そして厳密には、この考えの延長線上に殆どすべてのブロガーは位置している。誰の影響もまったく受けないブロガー・他人のアウトプットを食べてそれを加工して吐き出さないブロガーというのはたぶん、滅多にいないから