症例6(汎適所属)
脱オタ症例も六人目になったが、このFさんはこれまでの五人とは随分違った脱オタ上の局面を迎えています。このテキストは、Fさんの文章を通してそれを紹介したものです。
Fさんは、侮蔑されやすいオタクへの典型的な道のりを歩いてきていました。あまり良くできない運動、スクールカースト低位、服飾への無頓着さ、生徒会etc…侮蔑されがちなオタクを語るうえで見覚えのある単語が並びます。結局Fさんは、大学生院時代に至るまで種々のコンプレックスを抱えながら、オタク界隈に(消極的に)関わり続けていました。
オフ会の知人の指摘を受け、Fさんは24歳頃から脱オタを開始します。服装上の改善に端を発し、髪型の改善なども含めて様々な分野でFさんは脱オタを進行させていきます。「童貞コンプレックスを何とかする」為に風俗にも行ってみたようです。そしてFさんの脱オタは今年6年目を迎えましたが…脱オタのメイン目的たる、コミュニケーションシーンの改善やコンプレックスの解消はあまり進んでいないようです。Fさんは「何となくオタク」オーラがまだ出ていると自覚しているようですが、これはやはり、脱オタの目的が達成されていないことを示唆しているでしょう。脱オタを遂行させたと自覚する人は、「何となくオタク」オーラが減じたような感覚を覚えるものですが、Fさんは未だそこに到達していないようなのです。
Fさんは三十代を迎えています。六年間もの時間をかけています。これら数字は、脱オタにおいてぎりぎりの数字だと私は考えています。このケースは、脱オタを語るうえで重大な問題を提起しているように思えます。興味のある方は、本文をご覧下さい。