シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

利害と凹凸のある限り、正義は永遠に滅ばない

 
 正義は常に存在する。
 人の心の数だけ、集団の都合や利害の数だけ。
 
 正義は常に顕示される。
 名古屋城に鯱があるように、錦の旗が掲げられるように。
 
 正義は常に美しくあらねばならない。
 頭蓋骨の砕ける音を、対立者の絶叫を、美しい旋律に変える為に。
 
 正義は常に転倒される。
 対立する利害を持つ者によって。もう一つの正義によって。
 
 正義は決してなくならない。
 私達の集団に凹凸がある限り、私達に利害の対立がある限り。
 
 
 このような性質を持った正義なるものに、私は特別の価値や美を見出すことが出来ない(少なくとも滅多に無い)。代わりに私は、正義を掲げる人々・正義を必要とする人々、正義を求める際の私自身のうちに、利害対立に勝とうとする強い執着をこそ感じる。
 
 しかし…正義なるものが、利害対立において最小限の損害と最大限の利益を誘導する為の所詮方便に過ぎない事は、誰にとっても既知のことにも違いない。にも関わらず、私自身が正義を求める時にはそんな事が頭から吹き飛んでしまうんだから苦笑を禁じ得ない。
 
 私もまた、自分の為の正義しか求められない、執着の下僕ということなのだろう。私は、エルサレムに宝物があると思った時しか剣を振るえないクルセイダー達を、嗤うことが出来ない立場にある。