猫さん、そこは立ち入り禁止なんですよ

　
　高速道路を走っている時に、恐ろしいものを見た。一匹の三毛猫が路肩で、横断のタイミングを見計らっていたのだ。猫の動体視力を超える速度の車を、彼女は見切れるのだろうか？いや、かなり難しいだろう。時速百キロで走る物体を、猫の動体視力は適切に処理することは出来まい。停車して彼女を避難させたくなったが、そんな事をしたら、逆にビビッて道路に飛び出しかねない。彼女が肉煎餅になるかならないかは、私の与り知らぬところで決まってしまうのだろう。
　
　バックミラー越しに遠ざかる彼女の姿を見ながら、心から無事を祈らずにはいられなかった。すべての猫は、肉煎餅になるべきではない。