シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

「自然な手段」で人口が調整される事態の地球規模的復活

 

 じっさい、医学の進歩が人口の危機の促進に一役買ったのと同様に、農学の進歩も、人口の増大速度を速めることによってかえって人口問題を悪化させるかもしれないのである。毎秒数百万機かの割合でロケットを発射して宇宙へ大量移民でも送り込まぬ限り、無制限な産児数は、必然的に死亡率の恐るべき増加を招く。これは単純な論理的真理である。信じ難いことだが、この単純な真理を理解できず、信奉者たちが効果的な否認手段を講じるのを禁止する指導者たちがいる。かれらは人口を「自然な」手段で制限するのが好ましいといっている。彼らが直面する羽目になるであろうその手段とは、まさしく一つの自然な手段である。それは飢餓と呼ばれる手段だ。
(リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」)

 
 食糧生産は等差級数的に、人口動態は等比級数的に変化する。しかも、私達は本来の寿命を大幅に上回る生存を可能にする技術を手に入れ、膨大なリソースを費やし続けている。一部の人達の産児制限に関する最善の努力にも関わらず、「自然な手段」がイースター島の数百万倍の規模で発生する可能性は益々高まっているし、局地的には既に起こっていることでもある。食料を、水を、資源を求めて古来から人は罵り合い、奪い合い、殺しあってきた。数十年〜百数十年後に起こるであろう地球規模の破滅に際した時、それでも私達は個人としての利益を人類全体の共益よりも優先させるに違いなく、だからこそ生存競争は酸鼻をきわめるに違いない。