シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

萌えオタ達は女の子の都合や利害に関心が無い。だからこそ萌えメディアの「恋愛」は常に一方向的でしかない。

 

 オタクはしばしば、空気が読めない者として語られることが多いし、実際そういうオタクは結構いたりするのだが、これってやっぱり第三世代以降のオタク達に(マクロレベルでは観察できる)広く薄い傾向なんじゃないかと私は感じている。彼らのなかには他人の利害や感情に関心が無いタイプの「空気読めない人」への第一選択薬 - シロクマの屑籠に書いたような「自分の利害と感情はモニターしていても、他人のソレには無頓着無関心」な者が少なからず混じっている。第三世代以降のオタクには、(他者性が見事に欠落しているが為に)リアル女性とまともな双方向的交際が困難なケースが多い*1。自分の感情と利害しか追わないような男を女性は忌避するし、だからこそ両者の間に色恋沙汰の架け橋が生まれる確率は極めて低い。
 
 代わりに萌えオタ達は、所有/隷属というどちらかだけの都合を押し付けるような関係や、純愛・献身などといったタームによってごまかされた自分の都合を全能的にかなえてくれるファンタジーを、美少女萌えメディアから摂取している。「相手と自分の都合をすり合わせて進行するプロセス」という(ドラマなんかにありがちな)現実的構図は美少女恋愛ゲームには欠落しており、プレイヤーの欲望や都合を一方向的に回収する手続きばかりが選択・消費されていく。双方向的な、相手の都合を考えたドラマを萌えオタメディアに見出すことは本当に困難である*2。主人公がヒロインに一方向的に都合をかなえてもらう作品か(参考:脳内補完における、萌えキャラとオタクとの一方向的関係(汎適所属))、近年ちょっと出てきているような、逆にヒロインが主人公に一方向的に逆襲したり強姦したりする作品か。どちらにせよ、オタク萌えメディアには「双方が感情や都合をすり合わせて」というプロセスが面白いほど欠落しており、これは萌えオタ達の心的傾向なり需要なりを明確に反映しているものと私は推測する。
 
 もちろん、こうした「自分の都合や利害しかみていない」「他人の都合や利害は無頓着」な空気読めなさ加減(或いは読まなさ加減)というのはオタクに限ったものではない。電車のなかで携帯電話に向かってゲラゲラ笑う女子高生、ストーカー、「誰も僕を愛してくれない」と駄々をこねる自己愛者etc...空気が読めないほど自分しか見ていないのか、空気を読まないほど自分しか見たくないのかはともかく、一方向的に押し付ける事や、他人の都合や感情お構いなしに行動する傾向は、そこらじゅうに溢れている。互助の精神や思いやりなどといった、「他人の都合や利害を考慮した適応戦略」が後退しているのはオタク界隈に限られているわけではなさそうだ。一方で、他人の顔色ばかりを(エヴァの)シンジ君のように読みあう無力な男女も増えているわけで、どうも空気嫁を巡る状況はどこを見てもきな臭い。これから一体どうなることやら。
 
 そうそう、最後にお節介を付け加えておこう。もしあなたが他者の都合・利害が見えないor見ない萌えオタだったとしたら、なかなか男女交際の締結には繋がらないと思います。もちろん自分の発情を押し付けて嫌がられたり、相手の都合を無視した親切に苛立たれたりすることは可能でしょうけど。エロゲーと違い、実際の女性達は(もちろん)彼女達自身の都合や利害や感情を持っています。これを把握・管制しながら双方向的に歩み寄っていくプロセスこそがまさに男女交際なわけですが、これを難しいとか面倒くさいと仰る萌えオタさんも多いようです。女性にも選ぶ権利がありますから、そんな身勝手で怠惰な男の願望を一方的にかなえるアイドルになりたいと思う人はいないでしょう。やはり彼女達にもそれなりに我があるでしょうし、自分の利害や感情も考慮してくれる男性を選びたがるに違いありません。面倒くさがらず、嫌がらずに女の子の都合や利害もモニターしようという気持ちがあれば、徐々にお付き合いに繋がっていくでしょうから、もし男女交際をしてみたいと思うなら、「女の子の利害や感情」に関心を寄せ、それを読みってみようとがんばるといいかもしれません。それを面倒という仰る方は...ストーカーになったり支配されて嬲られる「快楽の白昼夢」をみるのは、どうかゲームとアニメの時間だけにしてくださいね。
 

*1:「オタクはストーカーみたい」という言質は明らかに偏見に基づくものなんだけど、実際問題空気読めないオタクとストーカーには共通点があるからこそ、こうした偏見も生まれてくるのかもしれない。即ち、両者はともに対象異性の都合や感情に無頓着であり、自分の感情や都合だけで動いているという点である。尤も、オタクのなかでも大人な人達はちゃんと空気が読めているので、オタク全てがストーカー的なわけではない事は断っておこう

*2:なお、「君が望む永遠」という作品は、こうした双方向的ドラマを描写した数少ない作品のひとつである。ヒロインと主人公の都合や気持ちが衝突する構図にリアリティがあったわけだが、エロゲーオタクのかなりの者がこのリアリティを「鬱ゲー」と呼んだ。なるほど、彼らは双方向的な衝突で「鬱」になるのか!これじゃあ異性を所有したり異性に所有されたりは出来るけれど、双方向的な交際なんて無理だわなと、同時の私は納得したものである。