シロクマの屑籠

はてなダイアリーから引っ越してきた、はてな村の精神科医のブログです。

fromdusktildawnさんの2026年試験管内の、精子と卵子の繁殖行動と淘汰

 

注意:このテキストで書いた知的機能・情報処理能力って言葉はかなり曖昧で僕も困っています。具体的には、論理的思考力・非言語コミュニケーション能力・語学力・多大な情報負荷に耐えられる中枢神経のタフネスなどが含まれるでしょうか。

 
 今も昔も女性達は、より沢山のリソースを自分と子孫に用意してくれて、より環境に適合しやすい有利な遺伝子を持った男性を配偶・種付けの相手として選択する傾向が強い。西暦2026年の日本 - 分裂勘違い君劇場にやや誇張して描写された、「貧富の差が知的能力の是非によって拡大しやすい傾向」が今後進むとしたら、果たしてどんな淘汰圧*1がホモ・サピエンスにかかることになるだろうか。これまでの人類の歴史においても、知的機能・情報処理能力は男性が女性に資源をもたらす可能性を示す重要な指標のひとつだったが、グローバリゼーション&ネットワーク化&知的労働が先鋭化したid:fromdusktildawnさん的2026年においては、知的機能や情報処理能力は今まで以上に適応リソースの優劣と相関した指標となり、(当然ながら)女性達の注目を集めると思われる。「ホモ・サピエンスの雌を魅了するような諸リソースの多寡を推測する便利な指標として、一層重要なファクターとして注目を集めるだろう」と表現すべきか。
 
 これまでも女性は、知性・腕力・大酒呑み・喧嘩っ早さや度胸などなどの様々なファクターを持った男性に魅力を感じてきたが、例の2026年においては、知的機能・情報処理能力によって男性が保有し得るリソース(=女性や子育てに提供できるエネルギー)が殆ど決まってしまうに違いなく、ゆえに女性が男性の繁殖価値を品定めする際には、腕力よりも喧嘩っ早さよりも知的能力(やそれを暗示する諸ファクター)に注目したほうが対象男性の適応的価値を的確に評価しやすい筈だ。二重瞼か否か・喧嘩っ早いか否かなどは、fromdusktildawnさん的2026年における男性の適応的価値を評価する尺度としては、あまり適切ではない。その代わり、思慮深い女性達は知的機能・情報処理能力を対象男性の(自分と自分の子孫にとっての)価値を評価する最も期待出来る尺度として測定する。fromdusktildawnさん的2026年においては、知的機能・情報処理能力の低い男性は収入や地位の期待値の低い男性に違いなく、よってそれらが高いこと示せる男性か否かに、女性達は目を光らせることになるだろう。
 
 女性達は、繁殖に供することの出来る潜在力の高そうな、つまり2026年的には知的機能や情報処理能力の高そうな男性を鵜の目鷹の目で検索するようになる。身体的能力や健康さを代弁するスポーツの達人達がモテモテだった度合いは(今よりは)減少し、知的機能や情報処理能力を代弁する知的ゲーム*2の達人達が今までよりも女性を魅了しやすくなるかもしれない。もちろん健康・腕力・歌の上手さなども依然として女性をattractするだろうけれど、対象男性の保有リソースと知的機能や情報処理能力がやたら相関する世界では、今までほどには注目されないかもしれない。知的機能・情報処理能力のある男性にリソースが集まり、そこに女性も群がるという構図。女性達は男性の知的機能・情報処理能力の高低にかつて無いほど敏感になる筈である。そしてその帰結として男性達は、今まで以上に知的機能や情報処理能力をアピールすることになるだろう。男の子は、今までよりも知的能力に相関性の高い趣味・遊びに夢中になり、女の子達はそれを眺めてウットリするようになる。コンピュータプログラム、学業成績、(ごく一部の)ゲームの能力は、これまで女の子達にはあまり人気のないアビリティだったかもしれないが、今後は一層多くの女性を惹きつけるようになるだろう。なお、彼女達自身がコンピュータプログラミングやゲームに精通している必要はない。単に、それらが金銭や豊かさをもたらすブラックボックスであることさえ薄々「感じて」いればそれでいいのである。とにかくそういうモノに精通している男性とお近づきになれれば、その男性は将来お金持ちの夫やご主人様になってくれるのだから*3。もちろん、コミュニケーションにおいて面白さや楽しさを提供出来る男性は、そうでない男性に比べて知的機能が発達している可能性が高いので、それらに長けた退屈させない男性を女性達は求め続けるだろう、現在と同じく。
 
 これらすべての帰結として、賢い男性と賢い男性に選ばれた女性達の遺伝子ばかりが、淘汰の世界で極端に有利になっていく。愚かな男性と、愚かな男性を選んだ女性達の遺伝子は、前者に比べて21世紀の事情に不利な教育・資源・環境・遺伝子しか入手出来ず、確率論的には次第に不利を被りやすくなり、おそらくは数世代程度で淘汰されてしまうかもしれない。特に、愚かな男性の遺伝子は、その遺伝子の乗り物たる男性自身が愚かであればあるほど、今まで以上に遺伝子を遺しにくくなる。
 
【これらの帰結として、数世代後に起こる人間の変化】
 
 もし、fromdusktildawnさん的2026年の如き様相が数世代持続したらどうなるのか。性淘汰及び自然淘汰は、短期間ではあっても強烈な淘汰圧をホモ・サピエンスにかけることになる。6500万年前、隕石の落下によって劇的に変化した生態系の新しいルールに則って勝負を始めた原始ほ乳類の如く、ホモ・サピエンスは情報負荷と知的機能という新しい適応ルールに則って適応と繁殖の競争を繰り広げる。数世代とはいえ、強烈な淘汰圧がかかり続けた時、人間は変わる*4。新しい環境に適合しない個体の遺伝子は淘汰され、新しい環境に適した個体の遺伝子だけが繁殖することになるだろう。そうなった時、男性の、女性の在り方はどうなるだろうか。SF的に、予測をしてみようと思う。
 

  • 男性の変化

・知的機能や情報処理能力に優れた男性の遺伝子が跋扈することになり、現在の男性よりも平均的な知的機能・情報処理能力は向上する。ただし、進化の世界では何かの+は何かの−とトレードオフの関係にあるので、寿命が縮む・髪を節約する・筋力が落ちるなどの何らかの身体的衰弱も併せて進行するだろう。多分、寿命が縮むんじゃないかと個人的には推測。一方、それらの優れない遺伝子は、女性に選ばれる機会少なくなる&女性や子どもを支える資源が少なめになってしまうが故に淘汰されてしまう。
・しかし一夫多妻傾向が黙認されるならば、精力だけは衰えないだろう。
・賢い男性を選んだ女性の遺伝子が生き残りやすい関係から、女性だけでなく男性もまた、賢い女性を選びたがる傾向が生まれるかもしれない。だがこれは男性の知的淘汰の苛烈さに比べれば、まだしもゆっくりとした変化に過ぎないかもしれない。
・男性達は、今まで以上に己自身の知的機能・情報処理能力の高さをアピールしようと力を入れるようになる。知的“スポーツ”への傾倒がすすみ、コミュニケーションによる知的アピールが適切な男性は、今まで以上に女性を口説きやすくなるだろう。
・略奪婚やレイプのリスクが極限まで少なくなった管理社会においては、女性達は必ずしも腕力のある男性に保護されなくても構わない。よって、fromdusktildawnさんの試験管内においては、もはやマッチョや戦闘力は女性に対して繁殖上の価値を提示するアイテムとしては今ほどの意味を成さなくなるかもしれない。
 

  • 女性の変化

・女性達は今まで以上に男性の知的機能や情報処理能力の優劣を気にするようになる。なぜなら知的機能や情報処理能力は、その男性の適応的価値や(新しい情報社会における)遺伝的適合度の最も正直な指標になるからである。知的機能の高い男性がもたらす潤沢なリソースと、“21世紀に即した知的機能強化型遺伝子”の含まれる精液を巡って、女性達は猛烈な奪い合いを演じるだろう。とはいえ雄ゴリラのような奪い合いはしなくても大丈夫だ――21世紀の男性達もまた、「据え膳食わぬは男の恥」な程度に繁殖意欲が旺盛で、金銭的にゆとりがあれば二人三人の妻を養うことも可能かもしれないので。
・とはいえ、男性側も(継続的関係を結ぶ)女性に対してはえり好みを働かせるので、雌であれば誰でも良いというわけではない。知的男性の選び方次第にも依るが、女性側も女性側で新しい淘汰圧に晒されることだろう。とりあえず、選び選ばれる世界の加速によって、審美性・知的能力・性格を巡る女性間の争いも激化することだけは間違いない。
・“知的機能や情報処理能力の高い男性を選択する”という営み自体が実は高い知的機能を必要とする点に注意しなければならない。知的機能・情報処理能力と適応的価値が強い相関を示す2026年世界では、そういった男性を評価・選択出来ない女性は、金銭や教育などのリソースの面で不利な繁殖環境に晒されることになる。また、知的情報化社会に適合しにくい遺伝子を掴まされやすくなる事によって、子ども世代における繁殖競争に敗北しやすくなる。よって、女性の側も知的機能の高い女性(特に男性の知的機能や情報処理能力をきちんと評価するようなアビリティを持った女性)がより有利に繁殖することになるだろう。
 
 …もちろんこれらは、fromdusktildawnさんのin vitroな思考実験におけるホムンクルス達に該当しそうな話であり、リアル世界ではこれほど事態が急速に進むことはないと考えたほうがよさげだ。とはいえ、知的機能・情報処理能力は、既に現代においても諸リソースと相関しやすくなっているかもしれず、知的生産能力を巡る争いが今後熾烈化するならば、上記のSFがある程度の割合において現出するかもしれない。知的機能が男性の社会適応の指標として重要な社会になればなるほど、男性の知的機能に注目したうえで女性達は配偶選択することになる。そして女性達のそうしたえり好みが積もり積もった結果、益々知的機能の高い男性の遺伝子ばかりが生き残ることとなり、それを評価する女性共々、知的機能への偏りが大きい“新しくて賢い人間”へとevolutionしていくのかもしれない。
 

*1:主として性淘汰。自然淘汰ではなく。

*2:とはいっても、既存のコンピュータゲームは複雑な知的機能を評価するマーカーとして果たして適当だろうか?私が今すぐ思いつくモノは、civilizationのマルチぐらいなものか。RTSは作業っぽ過ぎる。アクションゲームやシューティングゲームは、限られた情報処理能力しか代弁できない、等々の問題点を思いついてしまう

*3:もちろんこうした傾向は、繁殖適齢期の20代以降の女性において顕著に認められると予測される。現代社会でも、結婚や愛人関係を目論む女性達は、男性の経済力に惚れるようにできている。勿論彼女達は金に目が眩んでいるのではない。金持ちになれるような男性に目が眩むように出来ている、と表現するのが適当だろうか

*4:特に一夫多妻的傾向が強くなればなるほど、男性側の淘汰圧は一層加速することになる。なぜなら、一夫多妻的傾向が強くなると、新しい環境に適合しない遺伝子はより全滅しやすく、新しい環境に適合した遺伝子が一人勝ちしやすくなるため。