確かゲーテは、自著『若きウェルテルの悩み』について言っていたと思う、「若いうちにウェルテルが我が事のように感じられないというのは、不幸なことだ」みたいな事を。さて、振り返って21世紀の我が国の恋愛事情たるや、どうだろうか。付き合う相手がいれば、損得勘定、市場原理。付き合う相手が得られないなら得られないで、「わかってくれない」「どうせセックスさせて貰えない」。どこを探しても、ウェルテルに描写されるような、片思いへの憧れやロマンは見あたらない。21世紀の日本の男女交際(なんか恋愛、と書くのが嫌になってきた)においては、ウェルテルは時代遅れということか。なるほど。
ゲーテはこの現象を嘆くのだろうか?いやいやあの天才さんのことだ、ひとしきり嘆いてみせた後、「自分が生きていた頃とは全然違う場所と時代で起こっている恋愛事情」に好奇心を剥き出しにするんだろうな。それでもって、何歳になっても「惚れ」ちまうんだろうなぁ。