シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

きっと将来、僕らは年寄りに恨み事を言うのだろう

 
 20年〜30年ぐらい経って流行りそうな言葉。「老害」。
 
 その頃には、今の団塊世代が丸ごと介護の対象として若い世代に重くのしかかってくる。80歳を回ってもしっかりしていられる人というのは少ない。dementia(認知症)・身体疾患・その両方によって、福祉需要以外は何も生まない状態になる人が多くなるだろう。そしてその頃に時代を牽引する世代(1970年〜90年生世代)の金銭的・体力・精神力・時間を容赦なく奪っていく。国民健康保険がまだ維持されていたとしたら、年寄りにかかる金銭的コストはとんでもない事になっているだろう。若い世代で支えきれないほどに。まぁ、借金に次ぐ借金の果てに国民健康保険は破綻しているかもしれないけど。
 
 加えて、団塊世代〜ちょっと前ぐらいの世代がイニシアチブをとった頃のツケについて色んな人が色んな事を言うような気がする。国や自治体の借金はいい感じで貯まっているだろうし、返済なんてどうせ不可能なのでアルゼンチンの一歩手前ぐらいまで逝っているかもしれない。「あの世代は金ばかり食って、過去も、現在も、未来も、私達を苦しめている」。口の悪い人ならこんな事を言い出しかねない風潮に、拍車がかかりそうだ。
 
 その時代に今以上に社会不安が蔓延しているとしたら、その不安や葛藤を何かのせいにせずにはいられないのが人間なので、今の「嫌韓厨」のように(いやもっと大規模に)、悪い事をお年寄りのせいにするのが流行る可能性が高い。現在の日本の経済的・政治的・環境的状況が20〜30年後も続くとは、私には全く考えられないので、社会不安が強くなるのは不可避と考えている。その時、尊敬を失って久しい年寄り達は、若い人達からみて価値観や文化が異なり、見下せて、そのうえ恨み言を言いたくなるような経歴を有してみえることだろう。だから、「今の日本がこんなのなのは年寄りのせい」「年寄りがいなくなったから〜」という事を言いたくなる人が増えるのは殆ど避けられないんじゃないかな。

 その頃には、孝行の精神とか、生んでくれた親への感謝とか、そんなのもきっと今以上に失われているだろうから、親世代を責める事に抵抗のある人も(今よりは)少なかろう。ニート問題にもみられるように、「社会のお荷物」に見えやすいものを人は嫌悪し攻撃し、差別する。特に余裕が無い人ほどこの傾向は顕著になる。将来のこの国は、今よりも余裕の無い人で溢れているだろうから、老人への風当たりは悲惨なものになっているとついつい推測してしまう。

 ※元の意味からズレた用法だけど、まぁ、いいや。