【ゴッグのさけび――コミュニケーションに関する暗喩】
畜生!
どうして俺様がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!
量産型とはいえ、俺様は水中のスペシャリストだ、
ガンダムさえ、水中の俺様にゃかなわない。
メガ粒子砲は水冷式で大出力、
装甲も60mm機関砲ぐらいじゃなんともねぇ、
だのになんだよこの境遇は!
最新鋭のゲルググは仕方ねぇが、ザクだのジムだの、
豆鉄砲と紙装甲の連中がどうしてのさばってやがるんだ?
はぁ?汎用モビルスーツだぁ?
どこでもそこそこ戦えるってだけで、そんなに偉いのか!?
器用貧乏だってぇのが、そんなにありがたいのか?
連中が水中に来てみろ、俺様にかかっちゃ、あっという間に
バラバラよ…そりゃあグラブロ様には叶わないし、ズゴック
の二股野郎みたいな器用さはないけど…とにかく水中じゃ、
連中なんて敵じゃねぇ!
だっていうのに、どうして俺様がモビルスーツデッキの隅で
縮こまってなきゃいけねぇのか?!
どうして俺様だけ、話についていけないんだ?
お前ら水中の話しろよ!
宇宙もジャングルもわからねぇ!
整備士共も、あいつらばっかり整備して、俺様は二の次!
水中用MSがいけないってわけじゃねぇ、
グラブロ様なんか、水中戦の権威として拝まれてるし。
アガーイたんの陸戦談義にドムやグフ共はメロメロさぁ…。
ケッ!水中用MSが陸戦の話だなんて、外道のやることですよ!
どうせ俺様は水中バカですよ…ゾックと一緒に機雷掃除でも
やってますよ…誰も顧みなくても海の底でがんばりますよ…
畜生…!
畜生…!
だけどなぁ…。
こんなオイラだけど、
いつか、ブラウブロたんと一緒に宇宙を駆けてみてぇよなぁ…。
水中馬鹿のオイラじゃ、ブラウたんは口きいてくれないよなぁ…。
第一、宇宙じゃ空気が薄すぎて、
オイラすぐにオーバーヒートしてしまうだろうなぁ…。