小さな沼の水面に、石ころを投げつける。
ボチャン!
水面には、波紋が広がる。
広がる波紋は、折からの向かい風で発生する波と干渉しているようで
干渉していないようで、ただ表面的には、相殺したり増幅したりしている
ように見える。
水面のアメンボが、波紋に揺れている。
船着き場の杭にぶつかって、波紋が反射して戻ってくる。
誰かが向こう岸で投げ込んだ石の波紋が流れてきた。
そうした様々の要素の影響を受けながら、
石ころを投げこんで生まれた波紋は、次第にわけがわからなくなり、
そして沼の水面に呑み込まれていく。