シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

リングフィットアドベンチャー無しでは保てない身体になっている

例年、本格的な夏の頃には体重が落ちてくるのだけど、今年はなかなか落ちてこない。なぜだろう? と思って生活を振り返ったら、リングフィットアドベンチャーをやっていなかったことに気が付いた。 リングフィット アドベンチャー -Switch任天堂Amazon 私は…

いま、精神分析に意味があるとしたらそれは何か

同業の人が学会に集まろうとしている季節に、「いま、精神分析に意味があるとしたらそれは何か」などというお題をネットのopenな領域に投げるのは蛮勇すぎるのですが、ある集まりで「今、精神分析に意味はあるの?」という問いをいただき、持ち時間100分ぐら…

「点の成功」と「線の成功」の話

人生のある時点で最高・最強だからといって、長い人生が最高・最強とは限らない。 多くの場合、人生のある時点で最高・最強だった人は、その前は劣悪な環境でもがいていたり、精彩を欠いていたりする。一時代に栄華をきわめた人のかなりの割合も、一時代に栄…

石川県、浄土真宗、黒川仏壇店のCMのある風景

私は石川県の出身で、たぶんいろいろな大乗仏教、特に当地で大きな割合を占めている浄土真宗の影響下で育った。それでもって、無意識のうちにその宗教観や宗教文化をプリインストールされてきた、のだと思う。仏教なんて、浄土真宗なんて、と思う人もいるか…

『人生はゲームなのだろうか?』──思考演習なのはわかる。でもゲーム観が古く読みにくい

人生はゲームなのだろうか? ――〈答えのなさそうな問題〉に答える哲学 (ちくまプリマー新書)作者:平尾昌宏筑摩書房Amazon 上掲リンク先の本に気が付いたのは、発売される直前ぐらいだったように思う。 「人生はゲームなのだろうか?」。 ゲームを愛好し、さ…

「非国民」のボルテージとリアリティ

戦争時に「国家のために死んでください」と呼びかけてもなかなか戦ってくれない。しかし「戦争に反対する人は非国民です」と呼びかけると、あ、早めに従軍しようか、となる。言葉かけのちょっとしたデザインで行動が変わる。 https://t.co/thow9oB7Mu— EvoPs…

BLOGOS閉鎖とブロゴスフィアの黄昏と個人ブログのゆくえ

blogos.com 先日、さまざまなブログからの寄稿記事やオリジナル記事の一大集合体である「BLOGOS」が閉鎖されるというアナウンスメントを見かけた。BLOGOSが開闢したのは2009年で、その名からブロゴスフィアという語彙を連想するのは、00年代にブログを読み書…

規則正しい生活で生産効率120%の話と、ライフハックの陰と陽の話

シロクマ先生がある時期から妙に規則正しい生活について言及されていて、若かった当時の僕は「加齢による死への恐怖からの抗いなんかな」くらいにしか思ってなかったんだけど、最近自分がどんどん忙しくなり、規則正しい生活をしないとQOLも生産力も維持でき…

ブログと過ごした10年で、変わらなかったこと・変わってしまったこと

最近ブログを書く気持ちになれなくて、二週間近く放置してしていた。こんな時は誰かが与えてくれるお題に沿ってみるのがいいのかなと思い、【はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと」】にかこつけ、この10年で変わらなかった…

自己責任社会に阿弥陀様は輝く

先日、くたびれた頭でツイッターを眺めていたら以下のようなツイートが流れてきた。 「56億年後に死の星と化した地球に弥勒菩薩が現れて過ちに満ち満ちた人類史を漂白剤に浸けて綺麗にしてくれると信じてるよ」 弥勒菩薩、いいよね。 私は、(ゆるい)在家の…

梅雨の雨、雲、におい、どれも好きだ

雨の降る季節はあらゆるものにカビが生え、洗濯物が乾きにくくなり、水害が起こることもある。気圧の変化や温度の変化のせいで、私の場合、自律神経も失調気味になってしまうからいただけない。生活する、という点でみれば梅雨は厄介な季節でしかない。 けれ…

シロクマの閉塞について──アジコさんからお手紙をいただき気づいたこと

個人的なお手紙にご返信くださり、ありがとうございました。ゆうべ眠れず0時半ぐらいにPCを開いたら以下のタイトルが目に飛び込んできて、びっくりしました。 orangestar.hatenadiary.jp 再読し、ありがたいものをいただいたと感じました。私はアジコさんと…

今だけ人に戻ってアジコさんにお手紙を

orangestar.hatenadiary.jp こんにちは、小島アジコさん。はてな村・はてな界隈についてこういう文章を書く人はすっかり減りました。なので私はアジコさんあてに手紙を書きます。書いた理由は、書きたかったからです。 (上) 昔、アジコさんは『はてな村奇譚…

そうだ「ヤンキー的なもの」は規範だったのだった。

ゆうべ、twitterをぼんやり眺めていた時に、哲学者の千葉雅也さんの何気ないツイートが流れてきた。今日は、そこから色々と考えさせられたことをログとして残しておきたい。 学校をサボって昼に出かけていた、だがヤンキーではない、というのが僕にはわから…

ある研修医が見た就職氷河期の記憶

芽吹いてきた新緑を眺めていて、ふと、昔話がしたくなった。 別に珍しい話ではない。 一人の研修医から見た、就職氷河期当時の思い出話についてだ。 1. 私が研修医になる前から、それは始まりかけていた。私は医学部にこもりっきりなのが性に合わなくて、…

「時代に傷をつける」のか、「一握りの砂」になるのか

インターネットは明るくなってしまった | Books&Apps goldheadさんの文章がbooks&appsに投稿されていた。約半分は「インターネットが明るくなった」話で約半分は「ブログでも動画配信でもなんでもいいから、自分の刻み付けたライフを見せつけろ、時代に傷を…

はてな村は水面下に沈み、今はカオナシたちが跋扈している

2020年12月、はてな匿名ダイアリーに地方の公立校と中学受験についての話題を起点に、関連した話題が次々に投稿された。 中学受験について、匿名でないと書けないことを伝えたい 「多様性が大事」と叫ぶ同僚が私立中学受験させるらしい [B! 教育] まぁこんな…

「パワーが弱まっている感じ」について

「正しさ」や生産性のために、人間はどこまで治療され、改造されるべきのか - シロクマの屑籠最近のシロクマ先生の書き物、多くは「社会整合的パーソナリティへの過剰適応と、そこからの逸脱の病理化」への懸念をモヤッと仄めかす体裁になっていて、何か迫力…

「おしゃべりは喫談室でどうぞ」の未来

子供が泣き出したら、隣の乗客が耳栓を... 「悲しくなった」母親の訴えに反響: J-CAST ニュース【全文表示】 【追記あり】子供の泣き声に耳栓されて心が折れた 最近、2018年にわずかに話題になったはてな匿名ダイアリーへの投稿についてのJ-CASTのニュース記…

子どもがなんj語を使いこなすようになっていた

子育てには、人生の二週目のような味わいがある。子どもが新しいことを覚え、新しい遊びをおぼえるたびに、ずっと昔に自分がそうしていた頃を追体験できるからだ。それから虫取りや海水浴といった、大人になってやらなくなった遊びも子どもによってリブート…

お盆に還ってきた元ブロガーさんへ

※この文章は、はてな村と呼ばれたブログコミュニティで活躍した元ブロガーへの手紙です。興味のない人は畳んでください※ インターネットで表舞台に立たなくなってから、もうずいぶんと長い年月が.. [B! 増田] 諸般の事情によりブログをやめざるを得なくなっ…

『健康的で清潔で、道徳的な~』のたのしい参考文献たち

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて作者:熊代亨発売日: 2020/07/09メディア: Kindle版 おかげさまで、『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』は重版となりました。8月10日現在、Amazonでは売り切れ状態となってい…

上京し、コロナ騒動で奪われていた楽しさを思い出した

先週末、上京していろいろな人に会って打合せなどをこなしてきた。 報道では、東京では新型コロナウイルスに感染している人が再び増えているという。特に若い人の感染率が高いのだとか。そういったこともあって、戦々恐々としながら出かけた。ただ東京は随分…

アニメも観ずに『孤独のグルメ』を観るばかりの午後8時

ここ最近は特に無為に過ごす時間が異様に少なくなっていて、実際的なことだけをやっているので、ツイートすることがますます無くなってくる。— 5mm / 5Agape (@pycl) 2020年6月24日 「無為に過ごす」のはもったいない、でも豊かな時間だと思う。自分自身のバ…

あの頃のネットは貧しい土地で、俺らは火事花みたいなものだった

パイオニア樹種、という言葉をご存じだろうか。 パイオニア樹種とは、まだ植物が地面を覆っていない空き地や荒地にいち早く適応する、そういう樹木のことだという。火事の跡地などをいち早く緑で覆うのはこのタイプの植物だ。しかし、土地が緑でいっぱいにな…

書籍を作り終えて憂鬱になり、「何者かという問い」に呪われている

6月に出す新著についての作業工程がだいたい終わって、脱力状態になった。新しい本が発売される前の一か月ほどは、いつもこんな感じだ。少し憂鬱にもなる。 そうしたなか、手斧アイコンの方のはてなブログで「何者かという問いは呪いである。」という文章を…

「こわいのは、コロナより世間」

私の交際範囲のなかでは、こんな言葉が流行っている。 「こわいのは、コロナより世間」 高齢者や基礎疾患を持っている人にとって、COVID-19は命にかかわる疾患だ。とはいえ私の年齢、私の子どもの年齢なら、これが命取りになる可能性はそこまで高くない。こ…

ディストピア弁当を売っているスーパーがもっとディストピアになった

お店の名前は言えないが、私の生活圏には殺伐とした弁当が殺伐と並んでいるスーパーマーケットがあり、数年前からその店のことをディストピアスーパーと呼んでいる。 「弁当なんて、どこで売られているものも同じじゃないか」と言う人もいるかもしれない。確…

アメフラシを触ってきて癒された

先日、大きな街に出かける気分にはなれなくて、日本海側の僻地に出かけてきた。アメフラシを触るためだ。 アメフラシは生物学では重要な生き物で、確か、記憶の研究分野ではものすごく役に立っていたと記憶している。さておき、アメフラシはとてもかわいい。…

「はてなダイアリー」の気持ちを思い出したい

こんな時だからこそ多くの人に日記を書いてほしい……ウェブ日記に日々の淡々とした記録を、言葉を残すんや……今はSNSとちゃう、インターネット日記の言葉が状況に合うんや……ほんまやで……— 平民金子 (@heimin) 2020年4月1日 そうですね。こんな時だからこそ日記…