シロクマの屑籠

p_shirokuma(熊代亨)のブログです。原稿に追われてブログ記事はちょっと少なめです

執着

「倍速視聴はオタクじゃない」わかった。じゃあ理想のオタクって何?

gendai.ismedia.jp 講談社ビジネスに掲載された『「オタク」になりたい若者たち。』という記事に批判が集まっているのをtwitterとはてなブックマークで見かけた。 記事曰く、現代の若者は普通がなくなった状況のなかで無個性を嫌い、オタクになりたがるのだ…

ネットサービスによって「何者かになりたい」気持ちが(結構)変わる話

kensuu.com 先週末、ネットサービスを作っているけんすうさんが"「何者かになりたくなる」SNSはそろそろ衰退していくのではないか"、というタイトルの記事をnoteで書いておられた。 タイトルにもあるとおり、これは予測ではなく予感として読むべきものなのだ…

もし書くことがなくなったら、俺らは一体なんなんだ

書くことがなくなった - phaの日記 リンク先の文章がアップロードされた時、半目でそっと、逃げるように全文を読んだ。読んではいけないものを読んだ気分になった。 それから丸一日が経ち、寝る前に再び「書くことがなくなった」というタイトルを思い出して…

健康長寿は必ず良い? ──『老いなき世界』に感じた怖さ

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界作者:デビッド・A・シンクレア,マシュー・D・ラプラント発売日: 2020/09/01メディア: Kindle版 去年の秋に発売された『ライフスパン 老いなき世界』という本のことを再び考え始めてしまった。一読し、twitte…

多様な社会と、他説を否定したい私達の矛盾がわからない

新年あけましておめでとうございます。 年をまたいでも元気が出ないので手短に。 1月3日、映画『天気の子』が地上波初放送された。 天気の子発売日: 2020/03/04メディア: Prime Video 予想どおり、twitterにはいろいろな意見や感想が充満していて賑やかにな…

「正しさ」や生産性のために、人間はどこまで治療され、改造されるべきのか

外では優しいのに家では不機嫌な夫。「フキハラ」には声をあげて、夫婦で話し合おう。 | ハフポスト 先日、ハフィントンポストで「不機嫌な夫はフキハラである」という記事を見かけた。家族のなかの誰かが不機嫌な態度を取り、その不機嫌が家族に影響を与え…

ネットで語られる筋トレと脱オタクファッションは似ている(ところがある)

男は筋トレすればいいけど、「なめられない女」になるのは難易度が高すぎる | Books&Apps 上掲リンク先の"男は筋トレすればいいけど、「なめられない女」になるのは難易度が高すぎる"という記事は賛否両論だったようだ。読んでみれば、否定的な意見が寄せら…

中年ナルシストの道は狭く険しい

これから「中年ナルシストの道は狭く険しい」という小話をするが、私は小心者なのでおことわりを入れておく。 私は、自分のことをナルシストだと思っている。 だってそうだろう、二十年以上もインターネットで自己表現……といえば聞こえはいいけれども、自分…

あの頃私は買いだめして、本能を充たし不安を防衛していた

暑いのか秋っぽいのかわからない夜長に眠れなくなってしまった。少し前の思い出を書きたくなったので、新型コロナウイルスの脅威がいちばん切迫していた頃の思い出話を書く。 まず、参考までに3月19日付けのヤフーの記事へのリンクを貼り付けておく。 新型コ…

たぶん、幸福を管理される未来をみんなは受け入れる

アプリによって相手の幸せにどれだけ貢献したかを計測され行動の改善も促されるこれ会社でやらされたら怖い pic.twitter.com/kelXtwnaat— ゆるふわ怪電波☆埼玉 (@yuruhuwa_kdenpa) 2020年6月29日 すげーディストピア感あってテンション上がるこれによりハピ…

新型コロナウイルスと、呪術で戦っていませんでしたか

※今日、書くことはエビデンスを踏まえたものではありません。感染対策に貢献するものでもありません。私のエッセイ、いや思いつきでしかないことをあらかじめ断っておきます。※ (※出典:『肥後国海中の怪』(京都大学附属図書館所蔵)) 人々は、新型コロナウ…

親が教師のかわりに教えることと、親子のソーシャルディスタンス

今が人生でいちばんハッピーなんじゃ。|こゆるぎさん|note リンク先のnoteには、在宅勤務になって子どもと過ごす時間が増え、コミュニケーションがたくさんできるようになった喜びが記されている。こうした在宅勤務がなくなって元の勤務体制が戻ってくるの…

現代人の超自我と、逃れられない「こころ」の問題

最近は見かけることも少なくなったが、かつては神経症とかノイローゼとかいった「こころ」の病名をよく見かけた。 これらはフロイト以来の精神分析にかかわる「こころ」の病名で、おおざっぱにいえば「こころ」の内面の葛藤やこじれに関するものだった。1990…

なるほど「年を取ると一年が短く感じられる」わけだ

ブログは何を書いても構わないものだし、以前に書いたことに近いことを書いたって構わない、はずだ。 今日は気分が下がっているので、下がっているまま書こう。 「できる事」をどんどん捨てないと生きていけない - シロクマの屑籠三年前、私は「できる事」を…

「みんなが課金しないところに課金してしまうプレイヤー」問題

“ファミ通モバイルゲーム白書2020”最新市場動向が発表。国内年間課金売上トップは『FGO』。もっとも遊ばれたのは『ポケモンGO』 - ファミ通.com リンク先では、『ファミ通モバイルゲーム白書2020』にもとづいた2019年モバイルゲーム課金ランキング、それと総…

拝むものが無くて合理性を拝む迷える子羊

ネット言説における「合理性」信奉 - 道徳的動物日記 リンク先のブログは『道徳的動物日記』という私の好きそうな語彙が集まった名前で、しかも冒頭に「このブログは利益や金銭目的ではなく人々に対する啓蒙のために書かれています。ありがたがれ。」と記さ…

ベーシックインカムはきっと面白い人の味方

ITが単純労働を食い散らかした後にやってくること - orangeitems’s diary リンク先の文章は、ITが人間の仕事を奪っていった先に、労働や勤労の「権利」はどうなってしまうのか、を問うたものだ。人間の仕事がどんどんなくなり十分なベーシックインカムが普及…

「普通の男」を求める人には、恋なんてノイズみたいなもの

恋する以前に普通の男がいないという悩みと原因|minami_it|note ストレートな文章で、読みごたえがあった。人の願望がこうやって言語化され、しかも長文で読めるのは喜ばしいことだ。はてなブックマーク上ではいろいろなコメントが飛び交っているが、まず…

駅チカに、効率至上主義なブルジョワの夢を見る

タワーマンションと駅徒歩何分のお話 - novtanの日常 リンク先の文章を読んで、駅徒歩数分といった、いわゆる「駅チカ」と呼ばれる住まいの魅力を私はかえって理解したような気がした。駅チカ、都会生活に最適化されている人には非常に魅力的な住まいなんじ…

おのぼりさん、タワーマンション、自然災害

まず、下記リンク先の文章を読んでいただきたい。 武蔵小杉の浸水被害は叩いてもいいという風潮 - レールを外れてもまだ生きる - コロポンのブログ 武蔵小杉は私たちのような共働きおのぼりさん夫婦を受け入れてくれる場所だったということもあり、このエリ…

実写版『惡の華』についての個人的メモ

www.cinra.net リンク先のCINRA.NETさんに、映画『惡の華』についての文章を寄稿させていただきました。実写映画について寄稿するのは今回が初めてで、どうして私にお鉢が回ってきたのか少し不思議だったのですが、実際に作品を観てみると、なるほど、私に声…

ひとことで廃課金プレイヤーといっても背景はいろいろ。

www.a-h-c.jp 先日、アスクヒューマンケアの季刊『Be!』で、ゲーム障害についてインタビューをいただき、「現役ゲームプレイヤーの精神科医という立場から」意見を述べました。このブログで語った内容と方向性は同じだと思います(以下参照)。 [関連]:それ…

で、あなたは「本当に自分の好きなこと」を知ってるの?

いつの間にか「好きなことをしていい」時代から、「好きなことをしないと豊かになれない」時代に変わった。 | Books&Apps リンク先の文章は、「好きなことをしないと豊かになれない時代」の到来を告げる内容となっている。 ちょっと前まで、「みんな自由に仕…

それでも私は、「いま」を越えて海王星に辿り着きたい

宇宙 (福音館の科学シリーズ)作者: 加古里子出版社/メーカー: 福音館書店発売日: 1978/11/15メディア: 大型本購入: 4人 クリック: 53回この商品を含むブログ (28件) を見る 私は、就学年齢が終わってからの人生は惑星探査機の旅のようなものだと思っている。…

「金がなくても楽しい老後」は始まっている。ああでも生きていられるだろうか。

老後に金がなくても楽しく暮らすために今から準備しておくべきこと|ふろむだ@分裂勘違い君劇場|note ふろむださんが、楽しい老後についてnoteで記事を書いていて、主旨には同意するのだけど、私の思考はそこからどんどん離れていき、変な着地点にたどり着…

そうか、私は「40代のネクストステージ」を考えたいのか

THE BIG ISSUE JAPAN361号 | ビッグイシュー日本版 先日、『ビッグイシュー』361号の特集にて、年の取り方についてのインタビュー記事を掲載していただきました。 ひととおりバックナンバーをチェックしてからインタビューに臨んだのですが、綺麗な文体の媒…

ほとんどの人は「友人にカネを貸してはいけない」を理解する必要なんて無い

お金を貸して絶縁するだけの話 - やしお リンク先の筆者ははてなダイアリー時代からブログを書いているという。だからかもしれないけれども不思議な読了感があり、そういえば、ブログで対人関係の様式を読むのは久しぶりだな……などと思った。 対人関係にカネ…

特別展「東寺─空海と仏像曼荼羅」で、お参りしたい自分に気付いた

特別展「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」 仏縁に導かれて、東京国立博物館で開催している『特別展「国宝 東寺─空海と仏像曼荼羅」』を観に行ってきた。というより仏様に会いに行く気持ちで出かけたのだけど、さすが博物館での開催、そこには仏様ではなく仏像…

リスクやコストで人生をはかる人に「子育ての意味」は届くのだろうか

子どもがいることの幸せや嬉しさを、ロジックで説明することは出来ない: 不倒城 リンク先でしんざきさんが書いておられる文章は私にもよく「わかる」。なぜなら私も、子育てをとおして得られる意味や価値が、リスクやコストといった現代風の考え方にそぐわな…

若者でなくなったら「成長のルール」が変わった

ひたむきに成長しようとする若者を観るのが好きだ。 オンラインでもオフラインでも、10代~20代、ときには30代前半ぐらいの年齢の人が、しゃにむに成長しようとして、あれこれ試みたり、ジグザグに努力したりするのを観るのが好きだ。一点集中突破の成長を目…